[Vol.2027] 生産国は西側と非西側に分かれている

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。65.93ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。3,427.56ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年01月限は15,480元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年09月限は509.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2084.41ドル(前日比0.11ドル拡大)、円建てで10,289円(前日比2円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月5日 大引け時点 6番限)
16,088円/g
白金 5,799円/g
ゴム 322.8円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物 日足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 日足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「生産国は西側と非西側に分かれている」
前回は、「2010年以降、金属価格は長期底上げ中」として、主要四金属の価格推移(年足、1975年を100として指数化)を確認しました。

今回は、「生産国は西側と非西側に分かれている」として、主要四金属の鉱山生産国上位10カ国(数字は順位)(2024年)を確認します。

他の金属と比較する一つの切り口として、生産量(ここでは鉱山生産量)に注目します。白金(プラチナ)の生産量を1として比較すると、金(ゴールド)は21、銀(シルバーは143、銅はおよそ12万9,000です。

金(ゴールド)は白金(プラチナ)に比べると生産量は多いものの、銀(シルバー)はもとより、銅(カッパー)に比べて、生産量が大変に少ないことが分かります。

また、以下の図は各金属の生産量が多い国の上位10カ国を示しています(プラチナは上位3カ国。「偏在」する金属であるため生産できる国は少ない)。金(ゴールド)は、銀(シルバー)、銅(カッパー)と同様、北米、中南米、アフリカ、旧ソ連、アジア、オセアニアなど、世界各地で幅広く生産が行われていることが分かります。

例えば、中国やロシア、オーストラリア、米国、ペルー、メキシコといった主要な金(ゴールド)の生産国は、銀(シルバー)や銅(カッパー)の主要な生産国でもあります。「偏在」するプラチナと異なるこうした特性は、供給の動向を展望する上で重要な要素です。

生産国が分散されていることが安定化に至らないケースも想定されます。次回以降述べる「世界分断」の箇所で触れますが、民主度・自由度が低下しつつある国々で生産されているケースがあるためです。

民主度・自由度が低下すると、自国優先の傾向が強まり、世界全体として、供給減少懸念が高まります。

図:主要四金属の鉱山生産国上位10カ国(数字は順位)(2024年)
図:主要四金属の鉱山生産国上位10カ国(数字は順位)(2024年)
出所:World Gold Council、Johnson Matthey、Silver Institute、USGSのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。