[Vol.1235] 原油100ドル付近でのらりくらり

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。107.56ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,797.63ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年09月限は13,070元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年06月限は702.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで874.48ドル(前日比3.02ドル縮小)、円建てで3,641円(前日比19円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月16日 16時53分頃 6番限)
7,425円/g
白金 3,784円/g
ゴム 244.9円/kg
とうもろこし 58,480円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 7日午前8時59分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油100ドル付近でのらりくらり」

前回は、「「化学肥料」不足懸念が食糧危機を引き起こす!?」として、ウクライナ危機が化学肥料不足を、引いては食糧危機や政情不安を引き起こす可能性があることについて、書きました。

今回は、「原油100ドル付近でのらりくらり」として、ウクライナ侵攻が始まってから足元までの、原油相場の値動きについて書きます。

以下のグラフの通り、原油相場は、100ドル前後の水準で高止まりしています。西側を中心とした国々が石油の戦略備蓄を放出する方針を示しても、主要機関が世界の景気が鈍化する見通しを示しても、100ドル前後でのらりくらりと推移しています。

ロシアによるウクライナ侵攻開始以降、ロシアの蛮行を批判する国々(主に西側)は、戦争を終わらせるために、さまざまな策を講じてきましたが、和平への道は見えていません。

目下、西側は制裁をさらに強化し(EUがロシア産石油と天然ガスの不買強化を打ち出した)、ロシア側は自国産資源の供給減少をちらつかせています。真逆の姿勢を取り続ける両者の距離は、広がる一方です。

原油相場が高止まりしているのは、事態の「根」が相当深いところまで伸びており、市場がエネルギーの供給懸念を払しょくすることが困難であると感じているためだと、筆者はみています。なぜ、供給懸念を払拭することが困難なのでしょうか。

ヒントは、われわれ西側にあります。次回以降、詳細を述べます。

図:WTI原油先物(日足) 単位:ドル/バレル


出所:ミンカブ・ジ・インフォノイドの資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。