[Vol.1240] 国連事務総長が「食糧危機」に警鐘鳴らす

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。111.03ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,851.49ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は12,995元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年07月限は702.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで893.14ドル(前日比1.26ドル縮小)、円建てで3,721円(前日比26円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月23日 大引け 6番限)
7,601円/g
白金 3,880円/g
ゴム 244.8円/kg
とうもろこし 57,370円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●シカゴ小麦先物(期近) 月足  単位:セント/ブッシェル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「国連事務総長が「食糧危機」に警鐘鳴らす」

前回は、「原油相場の高止まりは続く!?」として、足元の原油市場の材料の全体像を確認しました。

今回は、「国連事務総長が「食糧危機」に警鐘鳴らす」として、広義の「食糧危機」に含まれる、「食糧価格高」について書きます。

以下は、FAO(国連食糧農業機関)が公表している、食糧価格指数の推移です。世界の食糧価格の全体像を示すこの指数は、2022年(1月から4月の平均)、実質146、名目149と、第一次オイルショック時を上回る水準で推移しています。

わたしたちのように先進国に住んでいる人たちも、牛丼やスナック菓子、小麦粉、植物油など、身近な食品が値上がりし始めていることを、感じています。食糧価格が高騰する中、価格高騰の背景である「供給量が減少する事への懸念」に注目が集まっています。

5月18日、世界の食糧安全保障を話し合う、国際連合(国連)の閣僚級の会合がありました。グテーレス事務総長は「(数カ月内に)何千万人もが栄養失調や飢餓に陥る恐れがある」と、世界的な食糧危機に警鐘を鳴らしました。

また、翌19日の安全保障理事会でも食糧危機が議題となり、米国のブリンケン国務長官は「ロシア軍は世界とウクライナの何百万もの人々への食糧供給を人質にした」と、ロシアを強く批判しました。

ロシアがウクライナに侵攻して3カ月が経過しましたが、まだまだ出口は見えません。見えないどころか、ロシアが繰り出す、直接・間接、柔・硬、さまざまな策により、世界中が揺らいでいます。「食糧危機」もその一つと言えます。(危機にはさまざまな意味がありますが、ここでは主に、価格が高騰していることを「危機」とします)

図:FAO(国連食糧農業機関)食糧価格指数の推移 ※穀物、植物油、乳製品、砂糖、食肉の国際価格を2014~2016年を100として指数化


出所:FAO(国連食糧農業機関)のデータをもとに筆者作成

 

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このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。