[Vol.1241] 「食糧危機」を引き起こす3つの要因

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。109.09ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。1,852.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年09月限は13,060元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年07月限は686.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで908.05ドル(前日比9.6ドル拡大)、円建てで3,732円(前日比11円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月24日 大引け 6番限)
7,571円/g
白金 3,839円/g
ゴム 246.6円/kg
とうもろこし 56,300円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●シカゴ小麦先物(期近) 月足  単位:セント/ブッシェル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「「食糧危機」を引き起こす3つの要因」

前回は、「国連事務総長が「食糧危機」に警鐘鳴らす」として、広義の「食糧危機」に含まれる、「食糧価格高」について書きました。

今回は、「「食糧危機」を引き起こす3つの要因」として、「食糧価格高」の背景について、筆者の考えを書きます。

以下は、筆者が考える現在の「食糧危機」を引き起こしている3つの要因です。「生産量減少」「輸出量減少」「囲い込み拡大」、いずれの要因も「供給量を減少させる要因」です。

ウクライナの輸出量減少など、すでに発生している具体的な材料のほか、ウクライナの今年冬に作付けする小麦(2022年/2023年度の冬小麦)の生産減少や、ロシアの穀物禁輸対象国の拡大など、まだ発生していない材料(懸念)もあります。(実態はなくても「懸念」は強い価格変動要因になり得る)

「★」印をつけた材料は「ウクライナ危機」起因の材料です。ウクライナ危機が終わらない限り、なくならない可能性が高い材料です。

その他、米国ではトウモロコシの作付け進捗(しんちょく)が平年に比べて遅れていることや、昨年度、小麦を大きな規模で輸出したインドが先日、輸出を停止することを宣言した、などの材料が挙げられます。

次回以降、「ロシア・ベラルーシの化学肥料輸出減少懸念」、「ウクライナの農産物輸出減少懸念」など、具体的な食糧価格の上昇要因について、書きます。

図:「食糧価格上昇」を引き起こす3つの要因(筆者イメージ)


出所:筆者作成

 

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このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。