減産順守率上昇は、数字のトリックだった!?④

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。54.29ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの上昇などで。1,546.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年01月限は12,110元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。19年10月限は429.9元/トン付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで569.45ドル(前日比30.85ドル縮小)、円建てで1,931円(前日比20円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(9月4日 18時32分頃 先限)
 5,242円/g 白金 3,311円/g 原油 35,470円/kl
ゴム 166.4円/kg とうもろこし 22,810円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「減産順守率上昇は、数字のトリックだった!?④」

前回は「減産順守率上昇は、数字のトリックだった!?③」として、減産のルール変更前(期間A)とルール変更後(期間B)の2点を比較しました。

今回は、前回触れた、約40万バレル、生産量の上限が引き上がり、削減量の目標が引き下がった点を補足します。

前回に続き、2017年1月から2018年12月までを期間A、2019年1月から現在までを期間Bとします。

また、両方の期間で絶え間なく減産を行っている国を、減産を継続している8カ国、とします。

以下の表は、期間別の生産量の上限とその変化を示したものです。実際の生産量ではなく、減産を実施する上での合意内容です。

8カ国合計の上限の変化が、プラス39万7000バレル/日量(+397)になっています。

これが、前回述べた約40万バレル、減産が“緩くなった”点を示しています。

その約40万バレルの背景となったのが、プラス幅が大きい、サウジ、UAE、そしてイラクの3カ国です。

この3カ国で62万バレル以上の上限引き上げが行われています。

この引上げを相殺するべく、逆に上限が引き下がり、減産が“きつく”なったのがアンゴラです。19万バレル以上、上限が引き下がっています。

8カ国の中のその他の国は大きな変動はありません。

ある意味、2018年12月の減産のルール変更は、サウジ、UAE、イラクの増産をアンゴラが部分的に助ける、という内容だったといえます。

OPEC全体で減産を順守していても、中ではルールが緩くなり生産量を増やせるようになった国、逆にそれらの国の穴埋めをするように生産量をさらに減らさなくてはならなくなった国と、さまざまです。

ルールが緩くなれば、多少増産をしても、高い減産順守率を維持しやすくなります。サウジはその恩恵を享受しているわけです。

引き続き、OPEC加盟国各国の原油生産量に注目していきたいと思います。

図:期間別の減産実施時における上限とその変化 単位:千バレル/日量
期間別の減産実施時における上限とその変化

出所:OPECの情報をもとに筆作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。