ベネズエラの原油生産量は再来年5月にゼロになる!?①

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。54.29ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの上昇などで。1,546.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年01月限は12,060元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。19年10月限は439.0元/トン付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで569.45ドル(前日比30.85ドル縮小)、円建てで1,909円(前日比15円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(9月5日 18時22分頃 先限)
 5,270円/g 白金 3,361円/g 原油 36,990円/kl
ゴム 166.0円/kg とうもろこし 22,750円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「ベネズエラの原油生産量は再来年5月にゼロになる!?①」

前回は「減産順守率上昇は、数字のトリックだった!?④」として、2018年12月に行われた減産のルール変更によって生じた、減産継続8カ国における、日量およそ40万バレルもの、生産量の上限引き上げ・削減量の目標引き下げについて、国ごとの関与状況について書きました。

今回は、OPEC加盟国の一つであるベネズエラについて書きます。

ベネズエラは、2017年1月から2018年12月まで減産実施国でしたが、2018年12月のルール変更により、現在は減産免除国です。

ただ、減産に参加するしないに関わらず、以下のグラフのとおり、長期的に生産量が減少しています。

政情・財政不安のため人とお金がままならないこと、石油関連施設が老朽化していること、同国産原油が超重質油であるため商用化にコストがかかることなどの理由から、同国の原油生産量は減少しています。

そして、米国による制裁強化で、2018年1月から3月ごろにかけて、減少に拍車がかかりました。

2016年1月と2019年7月のデータをもとに計算すれば、43カ月間で、日量158万3000バレルが減少しました。1カ月あたり日量3万6800バレルのペースです。

仮に今後、このペースで減少し続けた場合、2019年9月5日を起点にすれば、およそ605日後、2012年5月2日前後に、ベネズエラの原油生産量がゼロになります。

とはいえ、ベネズエラの原油生産を支援したり、同国産原油を購入したりする、米国と敵対関係にある中国が介入する可能性があるため、ゼロになる可能性は非常に低いとみられます。

ただ、ゼロにならずとも、今後さらにベネズエラ産の原油生産量が減少する可能性があります。

米国による制裁において、米国の主要石油会社がベネズエラで活動できる猶予期間が、今年10月下旬で終了する予定だからです。

次回以降、ベネズエラの原油生産量と米国の制裁の関係について書きます。

図:ベネズエラの原油生産量 単位:千バレル/日量
ベネズエラの原油生産量

出所:OPECのデータをもとに筆作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。