ベネズエラの原油生産量は再来年5月にゼロになる!?②

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。米原油在庫・原油生産量の減少などで。56.43ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,523.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年01月限は12,135元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。19年10月限は443.9元/トン付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで575.7ドル(前日比12.7ドル拡大)、円建てで1,962円(前日比38円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(9月6日 11時56分頃 先限)
 5,206円/g 白金 3,244円/g 原油 37,140円/kl
ゴム 166.5円/kg とうもろこし 22,770円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「ベネズエラの原油生産量は再来年5月にゼロになる!?②」

今回は、前回の「ベネズエラの原油生産量は再来年5月にゼロになる!?①」の続編として、米国のベネズエラからの原油・石油製品の輸入量、そして米国の原油生産量の動向につい書きます。

以下のグラフのとおり、米国のベネズエラからの原油輸入量は2019年2月以降、急減しています。

これは、前回述べた、米国の制裁が強化され、ベネズエラの原油生産量の減少に拍車がかかったタイミングとほぼ同じです。

2019年5月時点で、米国のベネズエラからの原油輸入量は日量1万1000バレルです。石油製品においては、同年3月の日量2万バレルを最後にデータがありません。(おそらくほとんどゼロとみられる)

6月以降のデータは、順次公表されますが(7月分が先月末に公表される予定だったが遅れている模様)、実態としてはすでに、米国とベネズエラの石油のつながりは途絶えているとみられます。

以前「ベネズエラの石油大国としての立ち位置を揺るがす米国の制裁」で触れた、米国からの希釈剤としてのベネズエラ向け石油製品の輸出も制裁のためできなくなっています。

制裁の主な動機は、ベネズエラ政権が反米を掲げているためだと報じられています。

その制裁が今年に入り、その制裁が強化されたわけですが、その強化の背景には、ベネズエラの米国への石油供給地としての役割が終わったこと、が挙げられると考えられます。

近年、米国の原油生産量が急増し、地理的に近いベネズエラを石油の供給地として利用する動機がなくなった、だから制裁を強化できる、ということです。

米国による制裁と米国の原油生産量には関りがあると考えられます。

図:米国のベネズエラからの原油・石油製品の輸入量(左軸)、および米国の原油生産量(右軸) 
単位:万バレル/日量


出所:米エネルギー省(EIA)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。