[Vol.1287] セカンドオピニオン(第二の意見)はアルミ先生

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。99.44ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,744.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年09月限は12,145元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年09月限は690.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで858.1ドル(前日比16.2ドル拡大)、円建てで3,756円(前日比30円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月28日 17時51分頃 6番限)
7,563円/g
白金 3,807円/g
ゴム 240.0円/kg
とうもろこし 46,400円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「セカンドオピニオン(第二の意見)はアルミ先生」

前回は、「ドクター・カッパーの診断の対象範囲はどこ?」として、「ドクター・カッパー」の診断範囲について、筆者の考えを述べました。

今回は、「セカンドオピニオン(第二の意見)はアルミ先生」として、主治医とする「ドクター・カッパー」の診断に対するセカンドオピニオンについて、筆者の考えを述べます。

前々回と前回、「ドクター・カッパー」について、「価格動向」、「需要国の内訳」の2点から、議論してきました。全体的に、「ドクター・カッパー」の考え方は、2000年以前に生まれた古いしきたりめいたもので、現在はご乱心中、という印象を受けます。

このような「ドクター」に診断をまかせてよいのか、という疑問が浮上するため、セカンドオピニオンを用います。セカンドオピニオンとは、セカンド=二番目の(second)、オピニオン=意見(opinion)で、「二番目の意見」という意味です。

実際の医療においても、とくに、高度な医療制度が浸透した先進国では、主治医以外の医師の意見を参考にするセカンドオピニオンは、一般的な考え方です。

筆者はコモディティ(商品)市場の専門家であるため、「ドクター・カッパー」の診断に対するセカンドオピニオンを担う存在を、コモディティ銘柄の中から探すことにしました。

先述の「不平等」の要素は残りますが、「ご乱心」度は下げられるように、思います。「アルミニウム」です。「ドクター・アルミ」と呼びましょうか。

アルミニウムの性格は、銅と同様、さびにくい、加工しやすい、電気を通しやすい、熱を通しやすい、などがありますが、特筆すべきは「軽い」「丈夫」です。

「軽くて丈夫」の性格が買われ、アルミニウムは、航空機、鉄道、自動車などの輸送の分野で多用されています。また、さびにくい点と合わせて、住宅資材のほか、アルミ缶などの食品容器にも使われています。

このように、アルミニウムも、基幹分野に根付いています。食品の分野まで裾野が広がっている点は、銅にはない特徴と言えるでしょう。このような需要内訳から、アルミニウムも、銅と同様に、「ドクター」になれると考えます。

図:アルミニウムと銅の需要内訳
図:アルミニウムと銅の需要内訳

出所:JOGMECのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。