[Vol.1288] 主治医ら、目先3カ月強は景気鈍化を示唆

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。96.89ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,756.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年09月限は12,215元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年09月限は679.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで876.5ドル(前日比6.6ドル拡大)、円建てで3,786円(前日比60円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月29日 11時59分頃 6番限)
7,548円/g
白金 3,762円/g
ゴム 239.4円/kg
とうもろこし 46,440円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「主治医ら、目先3カ月強は景気鈍化を示唆」

前回は、「セカンドオピニオン(第二の意見)はアルミ先生」として、主治医とする「ドクター・カッパー」の診断に対するセカンドオピニオンについて、筆者の考えを述べました。

今回は、「主治医ら、目先3カ月強は景気鈍化を示唆」として、主治医とする「ドクター・カッパー」の診断とセカンドオピニオンが示唆する、景気鈍化が継続する期間について、述べます。

前回、アルミニウムも「ドクター」になれると書きました。以下は、主治医である「銅(カッパー)価格」と、セカンドオピニオンの担い手である「アルミニウム価格」の推移です。

諸問題はあるものの、現在のドクターたちの「下落」が景気後退を示していると仮定します。「ドクターたちがどれくらいの期間、下落し続けるか」を推測することで、景気後退懸念が継続する期間を推測します。これにより、いつごろ、景気後退懸念が収束するのかのイメージが見えてきます。

銅は三つ、アルミニウムは一つ、下落のめど(長期視点の安値)があります。上図のとおり、銅はコロナショック後、逆オイルショック※後、リーマンショック後、アルミはコロナショック後です。※世界的な景気鈍化のきっかけになった原油相場の急落・低迷。2014年末に発生。

直近3カ月間の下落のペース(銅は毎月約884ドルのペース、アルミニウムは毎月約282ドルのペース)で下落し続けた場合、銅価格はコロナショック後の安値に2.8カ月、逆オイルショック後の安値に3.4カ月、リーマンショック後の安値に5.1カ月で到達します。

同様に、アルミニウムはコロナショック後の安値に3.2カ月で到達します。主治医とセカンドオピニオンは、「目先、3カ月強は景気後退懸念が続く可能性がある」と言っているわけです。

図:アルミニウムと銅価格の推移(LME現物 月間平均)※1960年1月を100としている
図:アルミニウムと銅価格の推移(LME現物 月間平均)※1960年1月を100としている

出所:世界銀行、QUICKのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。