[Vol.1291] 「6~7月」三つの「急」が相場を押し下げ

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。93.23ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,781.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年09月限は12,070元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年09月限は677.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで891.25ドル(前日比6.55ドル拡大)、円建てで3,754円(前日比20円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月3日 17時47分頃 6番限)
7,527円/g
白金 3,773円/g
ゴム 228.9円/kg
とうもろこし 45,090円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「「6~7月」三つの「急」が相場を押し下げ」

前回は、「高インフレ沈静化近し!? 商品指数は下落目立つ」として、米国のCPIと主要コモディティ指数の推移を確認しました。

今回は、「「6~7月」三つの「急」が相場を押し下げ」として、今年6月・7月のコモディティ市場の全体像を確認します。

以下の図は、前回述べたコモディティ(商品)価格の上昇圧力が低下した期間のうち、特に6月と7月(FOMC前)の各種市場の状況を、説明しています。(1)から(3)の三つの「急激な」事象が目立っていました。

7月のFOMC後に反発するまでは、利上げ、株価下落、需要減退懸念の三つの「急」が支配的となり、コモディティ市場に強い下落圧力がかかっていました。この点が、コモディティ指数の上昇圧力低下に拍車をかけたと、考えられます。

利上げはドル建てのコモディティ価格に割高感をもたらす「ドル高」、株価下落はリスク商品から資金引き上げをうながす「リスクオフ」、需要減退懸念が加わり、これらが一体となって、コモディティ市場に対する強い下落圧力を形成したと考えられます。

ウクライナ危機による供給懸念起因の上昇圧力は存在するものの、一体となった強い下落圧力がそれを相殺したのが、6月と7月(FOMC前)の全体像だったと言えるでしょう。

図:2022年6月・7月のコモディティ(商品)市場を取り巻く環境
図:2022年6月・7月のコモディティ(商品)市場を取り巻く環境

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。