ナイジェリアは減産実施国になってから増産傾向を強める

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の弱含みなどで。54.70ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,512.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,915元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。19年11月限は436.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで555.45ドル(前日比0.65ドル拡大)、円建てで1,904円(前日比1円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(9月13日 17時44分頃 先限)
 5,213円/g 白金 3,309円/g 原油 36,720円/kl
ゴム 169.5円/kg とうもろこし 23,590円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「ナイジェリアは減産実施国になってから増産傾向を強める」

前回は「ボルトン氏解任効果で日量162万バレル生産増加!?」として、イランの原油生産量の動向について書きました。

今回は「ナイジェリアは減産実施国になってから増産傾向を強める」として、イランと同様、OPEC加盟国のであるナイジェリアについて書きます。

現在の減産において、ナイジェリアは減産実施国です。

2019年8月の同国の原油生産量である日量186万6000バレルは、OPEC全14カ国のおよそ6.2%です。

また、現在の減産における同国の削減幅である日量5万3000バレルは、減産を実施しているOPEC11カ国のおよそ6.5%です。

ナイジェリアは、生産量も削減幅も、規模的にはさほど大きくはありません。

とはいえ、以下のグラフのとおり、同国の原油生産量が増加の一途をたどっている点は特筆すべきことです。

2017年1月の協調減産開始時、ナイジェリアは、3つあった減産免除国の一つでした。

減産が始まる以前の2016年ごろ、同国の油田地帯付近で武装勢力が台頭し、政情不安が高まり、原油生産量は大きく減少しました。

日量180万バレル程度の生産が行われていましたが、2016年半ばに日量140万バレル程度まで減少しました。

2016年11月と12月の産油国の会合で、OPECとロシアなどの一部の非OPECが協調減産を実施することを決めました。

この時ナイジェリアは、まだ正常な生産が行える状況ではなかったため、生産量を増加させることができる、減産免除国となったのです。

その後、徐々に同国の原油生産量が回復していきましたが、2018年12月の総会で、ナイジェリアは生産量に上限を設定する、減産実施国となりました。

しかし、グラフのとおり生産量は増加傾向にあります。

まだ、異常事態からの回復途上、とナイジェリア自身が認識している可能性があり、今後も生産量が増加する可能性があります。

図:ナイジェリアの原油生産量 単位:万バレル/日量


出所:米エネルギー省(EIA)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。