[Vol.1330] 引き続き石油・天然ガス関連株は強基調を維持か

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。80.89ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,672.20ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は13,100元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年11月限は629.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで808.5ドル(前日比0.7ドル拡大)、円建てで3,798円(前日比42円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月30日 13時47分頃 6番限)
7,708円/g
白金 3,910円/g
ゴム 227.6円/kg
とうもろこし 49,950円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「引き続き石油・天然ガス関連株は強基調を維持か」

前回は、「欧米時間に下落する原油相場は中間選挙後反発?」として、EUのエネルギー輸入額(石炭、石油、天然ガスなど)について、書きました。

今回は、「引き続き石油・天然ガス関連株は強基調を維持か」として、筆者が考える原油市場の期間別の上昇・下落要因ついて、書きます。

エネルギー関連企業の株価は足元、「買わない西側・出さないロシア」、欧州における需給ひっ迫を背景とした天然ガス価格の高騰を受け、堅調に推移しています。前回の「欧米時間に下落する原油相場は中間選挙後反発?」で述べた欧米で発生している事情が解消すれば、原油価格が反発し、株価動向の堅調さがさらに増す可能性があります。

また、原油については、中期的には「ESG」の「S」の観点から、EUにロシアのエネルギー供給が戻らず、強い供給減少懸念が浮上し、価格が上昇する可能性があります。西側諸国の間で、(仮に危機が沈静化しても)蛮行を繰り返したロシアとはビジネスを再開しない、という姿勢が目立つ可能性があるためです。

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字。近年、企業活動の監視項目、国連が提唱するSDGs(持続可能な社会をつくるための17のゴール)を達成するために有用な考え方です。

長期的に見れば、「脱炭素」起因で、主要産油国の多くで「投資不足」が蔓延(まんえん)し、供給減少懸念が強まる可能性があります。同時に、「脱炭素」起因で発生した需要減少をきっかけに「量」の点で収益が減少した産油国らが、「単価」の点で収益を維持するべく、さまざまな策を講じて原油価格を上昇させる策を繰り出し続ける可能性があります。

短期的には、6月以降続いているように「金融政策および選挙対策との整合性」を取ろうとする動きによって、欧米時間に下落する場面があるかもしれませんが、年末、それ以降(長期的に)、供給が減少し続け、市場に上昇圧力がかかり続ける可能性があります。

関連企業の株式についても、エネルギー価格につられるように、長期的に見て、上値を伸ばす可能性があると、現時点では考えています。

図:原油市場の期間別、上下材料
図:原油市場の期間別、上下材料

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。