[Vol.1345] 「OPECプラス」、「GECF」って何?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。83.67ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,652.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は12,305元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年12月限は666.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで717.4ドル(前日比5ドル縮小)、円建てで3,574円(前日比15円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月24日 16時54分頃 6番限)
7,895円/g
白金 4,321円/g
ゴム 219.7円/kg
とうもろこし 50,990円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY天然ガス先物(期近) 日足  単位:ドル/MMBtu
NY天然ガス先物(期近) 日足  単位:ドル/MMBtu

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『OPECプラス』、『GECF』って何?」

前回は、「目に見える分断、『反西側体制』の芽」として、10月12日の国連決議の結果について、述べました。

今回は、「『OPECプラス』、『GECF』って何?」として、世界規模の産油国・産ガス国のグループについて、書きます。

OPECは、Organization of the Petroleum Exporting Countriesの頭文字を並べたもので、日本語では「石油輸出国機構」です。石油メジャー(国際石油資本、欧米の大規模な石油会社)の支配から逃れ、産油国自らが原油の価格を決定できる環境を作ることを目指し、1960年9月に発足しました。(本部はウィーン。発足時の会合はイラクのバグダッドで行われた)

「プラス」がついたのは、ロシアやカザフスタン、マレーシアなどのOPECに加盟しない産油国たちと協調して減産(生産調整)を実施することを決めた、2016年12月の会合以降です。この会合当時は明確にプラスという言葉は付いておらず、「拡大OPEC」などとも呼ばれていましたが、次第に「OPECプラス」という呼び名が定着しました。

以下の図のとおり、OPECプラスは2022年10月時点で、23カ国で構成されています(OPEC側のリーダー格がサウジアラビア、非OPEC側のリーダー格がロシア)。世界全体の原油生産のおよそ57%を占めます。しばしば、彼らの発言・決定によって原油市場が揺れることから、「OPECプラスの発言には神通力がある」などという専門家もいます。

天然ガスの輸出国にもグループがあります。「GECF」です。Gas Exporting Countries Forumの頭文字を並べたものです。OPECにならい、そのまま日本語にすれば「ガス輸出国会議」あるいは「ガス輸出国フォーラム」となるでしょう。

GECFは2022年10月時点で、19カ国で構成されています(オブザーバー含む)。世界全体の天然ガス生産のおよそ42%のシェアを有します。

日本語のニュースに登場する機会があまりない「GECF」ですが、実はOPECと深い関わりを持っています。両組織は、2019年10月に覚書を交わして以来、徐々に協力関係を構築してきました。

今月10日には、3度目となる共同の会合を行い、世界で増大するエネルギー需要を満たすこと、石油・ガス産業に対する一般の誤解を正すこと、エネルギー貧困を削減すること、2015年ごろから始まった石油産業への過小投資などの課題を改めて認識した上で、それらの解決にはお互いの協力が必要であることを、確認しました。

共通の課題を抱えていることは、両組織の関りが深い理由の一つと言えます。それ以外の理由に、複数の国々が双方に参加していることが挙げられます。共通の参加国はアルジェリア、アンゴラ、赤道ギニア、イラン、イラク、リビア、ナイジェリア、UAE(アラブ首長国連邦)、ベネズエラ、アゼルバイジャン、マレーシア、ロシアの12カ国です(GECFオブザーバー含む)。

図:OPECプラスの国々 2022年10月時点
図:OPECプラスの国々 2022年10月時点

出所:mapchart.netの資料およびBPのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。