[Vol.1348] 上流・中流・下流って何?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。87.98ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,668.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は12,055元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年12月限は678.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで710.25ドル(前日比3.55ドル拡大)、円建てで3,508円(前日比6円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月27日 17時15分頃 6番限)
7,776円/g
白金 4,268円/g
ゴム 214.3円/kg
とうもろこし 49,500円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「上流・中流・下流って何?」
前回は、「WTI、ブレント、ヘンリーハブ、TTFって何?」として、各種主要化石燃料価格の決定拠点を確認しました。

今回は、「上流・中流・下流って何?」として、石油・天然ガス産業の「上流・中流・下流」を確認します。

エネルギー関連の基礎知識を確認する上で欠かせないのが、「上流」「中流」「下流」という考え方です。油田やガス田を探索することからはじまり、ガソリンやLPガスなどの最終製品を供給するまでの一連の流れを、三つに分けたものです。

目安として、上流は「探索」「生産」、中流は「処理」「貯留」「パイプライン輸送」、下流は「精製」「製品供給」です。以下の図はこうした流れをイメージした図です(米国をイメージ)。

「供給減少」に関するニュースを目にした時、この図にあてはめると、今後の需給や価格動向を考えるヒントが得られます。

例えば、「油田地帯にハリケーン襲来」というニュースは上流部分、「パイプラインで支障発生」(例:2021年に米国で発生したパイプライン関連企業のシステムがハッキングされた)というニュースは中流部分、「製油所の定期修理」というニュースは下流部分における供給減少要因です。

上流・中流・下流、どの段階で発生したかで、解消までの時間の長さや難易度が想像でき、それにより原油相場への影響を予測するヒントが得られます。

また、この考え方は、石油・天然ガス関連の企業の株価動向を考える際の、予備知識にもなります。例えば、米国の著名投資家であるバフェット氏が関心を示す「オクシデンタル・ペトロリアム社」は「上流」部門がメインの石油会社だとされています。

また、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに生じた「買わない西側(対ロシア制裁)・出さないロシア(出し渋り)」の影響で、欧州でのエネルギー需給がひっ迫し、それを補うべく、米国から欧州向けの原油と天然ガスの輸出が増加しています。これは米国国内の「中流」部門の企業にとってメリットと言えます。

図:石油・天然ガス産業の「上流・中流・下流」(米国をイメージ)
図:石油・天然ガス産業の「上流・中流・下流」(米国をイメージ)

出所:GPA Midstream、JOGMECなどの資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。