[Vol.1375] 世界3大穀物の収穫面積はもう増えない?

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。74.05ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,784.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年05月限は12,940元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年01月限は515.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで794.65ドル(前日比7.65ドル拡大)、円建てで3,544円(前日比17円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月7日 16時56分頃 6番限)
7,824円/g
白金 4,280円/g
ゴム 224.0円/kg
とうもろこし 44,410円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足  単位:ドル/ブッシェル
シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足  単位:ドル/ブッシェル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「世界3大穀物の収穫面積はもう増えない?」
前回は、「高止まりを支えるのは『ウクライナ危機』」として、筆者が考えるウクライナ危機を起点に考える農業を取り巻く環境について、述べました。

今回は、「世界3大穀物の収穫面積はもう増えない?」として、筆者が考えるウクライナ危機を起点に考える農業を取り巻く環境について、述べます。

以下のグラフは、世界全体の世界3大穀物(トウモロコシ、米、小麦の合計)の生産量と収穫面積の推移を示しています。

期間は、1970年から2021年まで約半世紀です。世界全体で世界3大穀物の生産量は増加し続け、半世紀でおよそ3倍になりました。

生産量は、収穫面積を増やしたり、単位当たりの生産量を増やしたりすることで増えます。一方、グラフが示すとおり、この半世紀、収穫面積は微増でした。

収穫面積が微増であるにもかかわらず、生産量がおよそ3倍になったのは、単収が飛躍的に向上したためです。

世界3大穀物それぞれの単収(1エーカー≒1辺が約63メートルの正方形の面積で生産された量)は、この半世紀で単収は飛躍的に増加しました。

トウモロコシが2.22倍、米が1.97倍、小麦が2.17倍です。世界3大穀物いずれも、同じ面積で生産される量が、2倍になったのです。

世界3大穀物の生産効率を2倍にした要因は何だったのでしょうか。農業における「技術革新(大規模な農場で活躍する農耕機や、病気や天候不順に強い品種の開発など)」、個々の植物の生育を増進させる「化学肥料の使用」が挙げられます。

化学肥料は、窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料の三つに分けられます。植物が生育する上で、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)は、欠かせない栄養素で、植物自身が土壌から摂取することは難しいといわれています。

植物を効率よく生育させ、収穫量を増やすためには、人為的にこれらの栄養素を与える必要があるわけです。

図:世界3大穀物の単収の推移(世界全体) 単位:トン/エーカー
図:世界3大穀物の単収の推移(世界全体) 単位:トン/エーカー

出所:FAO(国連食糧農業機関)のデータをもとに筆者作成

 

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このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。