リグは単なる穴掘り機で、原油を生産する設備ではない

原油
著者:吉田 哲
原油(WTI先物)反発。米主要株価指数の反発などで。56.72ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの低下などで。1,514.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,645元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。19年11月限は450.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで586.35ドル(前日比1.95ドル拡大)、円建てで1,989円(前日比2円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(9月26日 18時45分頃 先限)
 5,204円/g 白金 3,215円/g 原油 37,900円/kl
ゴム 165.1円/kg とうもろこし 23,510円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「リグは単なる穴掘り機で、原油を生産する設備ではない」

前回「米国は原油生産量世界No1をひた走る」として、今月、EIAが公表した米国全体および米シェールオイル主要地区の原油生産量が、ともに過去最高に達したことについて触れました。

生産増加をデータが明確に示す中、米国の稼働リグ数が減少していることを受け、シェールの生産量が減少する、引いては米国の原油生産量が減少するのではないか?という見方があります。

これに関連し、米国の原油生産量の増加は、OPECプラスが行っている減産の効果を薄め、原油相場の上値を重くする原因になっている、という考え方があります。

シェールの生産量が減少して米国の原油生産量が減少すれば、上記の考え方の前提である“米国の原油生産量の増加”が逆転する、つまり原油価格の上値を重くしている原因が取り除かれることにつながります。

ただ、前回述べた通り、稼働リグ数はあくまでもシェールの開発段階の前工程である“掘削作業”の活況度を示すものであり、生産量に直接的に影響があるわけではありません。

リグは、生産をする設備や施設ではなく、ボーリング(穴掘り)を行う機械であるためです。

直接的に影響があるのは、開発段階の後工程である“仕上げ作業”の活況度を示す“仕上げ済井戸数”です。

これは、以下の図のとおり引き続き増加傾向にあります。仕上げ済井戸数の増加が、米シェール主要地区の原油生産量の増加の根拠となっているといえます。

現在仕上げ済井戸数が増加しているのは、これまで積み上げてきた、前工程が終わったものの後工程が終わっていない“掘削済・未仕上げ井戸”(DUC:drilled but uncompleted)を中心に、仕上げが行われているためです。

このため、稼働リグ数が減少しても、原油生産量は増加しているのです。

次回以降、DUCの数の推移について書きます。

図:米シェール主要地区の仕上げ済井戸数と稼働リグ数 単位:基


出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 1977年生まれ。大学卒業後、コモディティ業界に入る。2007年からコモディティアナリストとして商品の個別銘柄分析や情報配信を担当。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。楽天証券ウェブサイトにレポート「週刊コモディティマーケット」を掲載(毎週金曜更新)。各種メディアでも独自の視点を織り交ぜながら関連情報を幅広く配信している。