DUCの取り崩しがシェール生産増加の背景

原油
著者:吉田 哲
原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。56.47ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの短期的な反発などで。1,502.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,425元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。19年11月限は448.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで577.35ドル(前日比1.75ドル縮小)、円建てで1,966円(前日比7円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(9月27日 18時53分頃 先限)
 5,183円/g 白金 3,217円/g 原油 37,780円/kl
ゴム 160.5円/kg とうもろこし 23,530円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「DUCの取り崩しがシェール生産増加の背景」

前回は「リグは単なる穴掘り機で、原油を生産する設備ではない」として、米シェール主要地区における、稼働リグ数と仕上げ済井戸数について書きました。

今回はそれに関連して「DUCの取り崩しがシェール生産増加の背景」として、前回の最後に触れた“掘削済・未仕上げ井戸”(DUC:drilled but uncompleted)について書きます。

EIA(米エネルギー省)の統計に“DUC inventory”という文言があります。このinventoryを在庫と解釈すると、DUCを理解する助けになります。

シェールの開発工程は、前工程の“掘削”と後工程の“仕上げ”に分けられます。

DUCは2つの工程の狭間にある在庫の数と言え、「掘削済み井戸数ー仕上げ済井戸数」で増減分が計算されます。

例えば、今年3月の掘削済井戸数は1,400、仕上げ済井戸数が1,395で、DUCは5基積み上がりました。

また、今年8月は掘削済井戸数は1,247、仕上げ済井戸数が1,389で、DUCは142基取り崩されました。

このように、その月の掘削済井戸数と仕上げ済井戸数の数で、その月に積み上がるあるいは取り崩されるDUCの数が決まります。

以下の図のとおり、DUCは今年4月以降、減少傾向にあります。

前回示したとおり、仕上げ済井戸数は高止まりしていますので、足元のDUCの減少は稼働リグが直接的に関わる掘削済井戸数の減少によって起きています。

開発の後工程に関わり、生産量に直結する仕上げ済井戸数が高止まりしているのは、DUCという在庫を取り崩して仕上げが行われているためです。

言い換えれば、現在の原油生産量の増加は、DUCという在庫を削減することによって起きているということです。

稼働リグ数が増加しても、原油生産量が増加しているのはこのためです。

図:米シェール主要地区のDUCの数 単位:基
米シェール主要地区のDUCの数

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 1977年生まれ。大学卒業後、コモディティ業界に入る。2007年からコモディティアナリストとして商品の個別銘柄分析や情報配信を担当。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。楽天証券ウェブサイトにレポート「週刊コモディティマーケット」を掲載(毎週金曜更新)。各種メディアでも独自の視点を織り交ぜながら関連情報を幅広く配信している。