週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比2.54ドル安の56.14ドル、ブレント原油は2.56ドル安の62.22ドルとなった。

 前週末の海外原油マーケットは、米国が対イラン追加制裁を発表したものの、イランとの軍事衝突は回避したい姿勢を示したことから中東の地政学リスクが後退し、軟調な推移となった。ただ、週明け23日は切り返す動きを見せ、米新聞社がサウジの石油施設の復旧に関してサウジ側が示した見通しよりも長い期間を要すると報じたことが材料視され上昇した。トランプ大統領が国連総会の演説で中国の通商慣行を批判したことを受け、米中貿易摩擦の収束にはまだ時間がかかるとの警戒感が再燃し米株価が下げ幅を拡大、原油もつれ安となり反落した。25日は、EIA統計において原油在庫が予想外に増加していたこと(予想-30万B→結果+240万B)が嫌気され続落。また、サウジアラビアからの原油輸入が拡大するなど、生産量は落ち込んでいるものの輸出に影響が出ていないことが示されたことも重しとなった。ただ、イランのロウハニ大統領が国連総会の一般討論演説でトランプ米大統領との直接会談を拒否したことで、米イラン 間の緊張を背景にマーケットは次第に下げ幅を圧縮、下げ渋るかたちとなったもようだ。翌26日はWTIが小幅続落、ブレントが小反発と結果的に小動きとなった。序盤は、トランプ米大統領弾劾へ向 けた動きを嫌気した株安や、ドル高進行などから軟調な推移となるも、引けにかけて、米国防総省がサウジ増派計画の詳細を公 表。中東の地政学リスクが意識され、往って来いの展開となった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。