「10大リスク」から2023年の商品市場を読む(1)

著者:菊川 弘之
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 1月に入り慎重姿勢を貫いてきたドイツが、「レオパルト2」の供与を決断した。米「エイブラムス」、英「チャレンジャー2」などとともに、ウクライナ軍に投入されることになった。今回注目されているのが、「レオパルト2」。ヨーロッパ各国などが合わせて2000両以上保有しており、弾薬や部品の補給、メンテナンスがしやすい。中長期にわたり弾薬補給や修理を受けられる利点がある。ただし、ドイツは最初のレオパルト2がウクライナに届くまで、「3ヶ月かかる」との見通しを示している。「M1エイブラムス」は「世界最強の戦車」の異名を持つものの、引き渡し後には操縦訓練が必要で、米軍の保有戦車ではなく、新たに発注して供与するため、実際の配備には1年近くかかるとの見方もある。また、レオパルト2はディーゼルエンジンだが、エイブラムスは強力なガスタービンエンジンで動くため、運用には大量のジェット燃料を必要とする。燃料の補給路確保が難しく、ウクライナ軍が運用できないとの懸念も根強い。

 バーンズCIA長官が、先々週にウクライナを極秘訪問し、ゼレンスキー大統領らと会談した。その際に、ウクライナに戦車が配備される前に、ロシアが仕掛ける可能性がある見立てが説明された。更に、米下院で多数派を握った野党共和党内でウクライナ支援に消極的な議員がいるのを踏まえ、軍事支援継続が今後難航する恐れもあるとの考えを伝えた。

 ウクライナの汚職官僚の大量辞任との交換で欧州の戦車提供が話題になっているが、リベラル色の強いワシントン・ポスト紙に意図的にリークされた「今後の支援難航」「春季軍事作戦」が示されたことは、今後の布石となる可能性がある。

 欧州刑事警察機構(ユーロポール)は、2022年7月に「確立された密輸ルートやオンラインプラットフォームを通じ、ウクライナから欧州連合(EU)域内に武器や爆発物が横流しされる恐れが高い」と警告を発している。

各国が保有する「レオパルト2」の数
出所:英国際戦略研究所
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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