「10大リスク」から2023年の商品市場を読む(1)

著者:菊川 弘之
ブックマーク
 クロアチアのミラノビッチ大統領は30日、クロアチアがウクライナに軍事支援を提供することに反対姿勢を示し、2014年にロシアが「併合」したクリミアについて、二度とウクライナの領土の一部にはならないと発言した。

 「ウクライナが絶対正義・ロシアが絶対悪」と言う西側メディアの論調やEU内での制裁に対する温度差も出始めている。一方、米ロの直接対話チャンネルは復活しており、停戦協議が進めば、一時的なリスクオンとなりそうだ。

(2)Maximum Xi:「絶対的権力者」習近平

 10大リスクでは、「中国の習近平国家主席(共産党総書記)は、2022年10月の第20回党大会で、毛沢東以来の比類なき存在となったことで、習近平主席を制約するチェック・アンド・バランスがほとんどなく、異議を唱えられることもないため、大きな誤りを犯す可能性も一気に大きくなった。」と指摘した。また、コロナに深刻な新型が出現した場合、習近平の存在が理由で、中国国内外に広く拡散する可能性が高くなる。強力な変異体のニュースを公表することもできないだろう。世界はより致命的なウイルスに備えるための時間をほとんど、あるいは全く持てないとしている。これらが具現化するなら、リスク回避・需要減少思惑が材料視されるだろう。ただし、昨年末からマーケットは、ゼロコロナ政策から「フルコロナ政策」に舵を切り替えた中国需要急増期待を急速に高めている。

 まずは3月5日開催予定の全人代に注目が集まる。

 中長期的には、「10大リスク」には指摘されていないが、2022年12月の習近平主席のサウジ訪問で浮上した「ペトロ人民元」体制が、ロシア制裁の動きと相まって、一段と進むようならドル売り・金買い要因となるだろう。

中国国家統計局製造業PMI
出所:中国国家統計局

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

https://www.nstrading.co.jp/

http://market-samurai.livedoor.biz/