[Vol.1418] 「中央銀行」を軸に長期投資に臨む

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。78.62ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,895.05ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年05月限は12,645元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年03月限は554.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで907.85ドル(前日比4.35ドル拡大)、円建てで3,779円(前日比10円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月9日 17時55分頃 6番限)
7,919円/g
白金 4,140円/g
ゴム 227.1円/kg
とうもろこし 43,670円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『中央銀行』を軸に長期投資に臨む」
前回は、「金(ゴールド)価格、長期上昇の『芽』出ている」として、自由民主主義指数が0.4以下および0.6以上の国の数を、確認しました。

今回は、「『中央銀行』を軸に長期投資に臨む」として、筆者が考える金(ゴールド)を取り巻く七つのテーマを、確認します。

ウクライナ危機を機に、「民主国家(≒西側)」と「非民主国家(≒非西側)」の間の溝は深まるばかりです。

ここでいう「非西側」は、4種類のグループの合計です。旧ソ連諸国(ロシア、ベラルーシ、カザフスタンなど)、産油国(サウジアラビア、イランなど)、ロシアに隣接する一部のアジア諸国(中国、北朝鮮)、南米・アフリカの資源国(ボリビア、ザンビアなど)です。いずれも非民主的な傾向があります。

こうしたグループは、もともとロシアになびきやすい(主に旧ソ連諸国)、化石燃料の輸出が重要な収益源で西側が提唱する「脱炭素」を受け入れにくい(主に産油国)、独裁色が強く西側が推進する「人権重視」を容認しにくい(ロシアに隣接する一部のアジア諸国など)、西側が否定的にとらえる資源価格の上昇を好意的に受け止める(南米・アフリカの資源国)といったように、細かい文脈は異なれども、「西側と考えが合いにくい国」とまとめることができます。

仮に危機が沈静化しても、一度深まった「民主国家(≒西側)」と「非民主国家(≒非西側)」の間の溝は、簡単には埋まらないと、筆者は考えます。

この意味では、危機が沈静化しても、非民主国家の中央銀行による金(ゴールド)の保有高増加は、継続する可能性があります。

「中央銀行」は以下の通り、「中長期」のテーマです。短期的なテーマではないため、今すぐの価格反発に寄与することはないと見られますが、数年単位など、長期視点では価格反発に寄与すると考えられます。

図:金(ゴールド)を取り巻く七つのテーマ
図:金(ゴールド)を取り巻く七つのテーマ

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。