NY金、三尊天井完成

著者:菊川 弘之
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 夏に急低下した米国債金利は反転上昇。10月の米利下げ観測がやや後退していることもドル買いの一因となっている。CMEのFEDウォッチによると、市場が織り込む10月連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きの確率は、30%から50%程度へ変化してきた。今週は4日に雇用統計が控え、他のマクロ経済指標と共に結果を受けた利下げ観測の行方にも注意したい。

 中国は国慶節で10月1日から7日まで休場となる。この間は、米中貿易協議も休戦状態となりそうだが、米中閣僚級の貿易協議が再開される10月10~11日からは、再び双方の強調姿勢がクローズアップされてくれば、再び、株安・金利引き下げ圧力が高まるだろう。

 米中貿易戦争は覇権戦争であり、先端産業、安全保障を巡る争いでは妥協しないことは、共和・民主党派を超えた共通認識であり、大統領選挙に向けて安易な妥協は採らず長期化する見通し。中国側も米大統領選挙を見極めようとする動きが見られ、米中双方ともに必ずしも経済合理性に則った決定・判断が行われるとは限らない。米リセッション入りの可能性が時間経過と共に高まりを見せる中、月末には合意なきブレグジットが材料視されることや、燻り続ける中東の地政学リスクなどを考慮すると、今回の内部要因・テクニカル面からの下げ局面で出る金の安値は、中長期的な買い場を提供することとなるだろう。

 チャート上の底打ち確認後、押し目買いを考えたい。5月安値~9月高値までの上昇に対する38.2%押しと重なる心理的節目1450ドルが下値支持。半値押しは基準線と重なる水準。
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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