[Vol.1425] 侵攻開始日から大幅下落した各種市場

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。77.29ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,854.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年05月限は12,565元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年04月限は556.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで928.2ドル(前日比0.60ドル縮小)、円建てで3,945円(前日比15円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月20日 16時48分頃 6番限)
7,937円/g
白金 3,992円/g
ゴム 222.4円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「侵攻開始日から大幅下落した各種市場」
前回は、「長期投資は『最高の生涯学習の対象』」として、筆者が考える長期視点の行動全般(投資含む)に役立つ考え方について、述べました。

今回は、「侵攻開始日から大幅下落した各種市場」として、「侵攻開始日(2022年2月24日)」から足元までの、各種銘柄の騰落率を確認します。

2022年2月24日、ロシアはウクライナに侵攻しました。あれから1年です。今回は、さまざまな株価指数やコモディティ(国際商品)の値動きを振り返り、ウクライナ危機がもたらした市場への影響を確認します。そして同危機起因の影響が、今後どうなりそうかを考えます。

足元(2023年2月17日)の金(ゴールド)の終値は1,840ドル、WTI原油(以下、原油)は76ドル、銅は8,950ドル、小麦は765セント近辺でした。侵攻開始日の終値は、金が1,925ドル、原油が92ドル、銅が9,900ドル、小麦が926セント近辺でした。つまり、現在の価格水準は、侵攻開始日に比べて低いのです。

また、侵攻開始日からおよそ2週間が経過した2022年3月上旬。これらの銘柄は記録的な高値水準に達しました。その水準とは、金が2,040ドル、原油が123ドル、銅が10,160ドル、小麦が1,270セント近辺でした。こうした水準に比べれば、現在の水準は10%~40%程度も低いのです。

侵攻開始後の急騰時の高値はもちろん、開始当初に比べれば、現在の価格は大きく下落しています。そしてそれを以て一部では、ウクライナ危機がもたらす上昇圧力はほとんど消滅したのではないか、との声が聞かれます。

次回以降、数回に渡り、以下の三つの価格と比較しながら、足元の価格水準がどの程度かを確認します。概要は以下のとおりです。(1については上述のとおり)

・「足元の価格」を、以下の三つの価格と比較
(1)侵攻開始日(2022年2月24日)の終値比
→ 多くの銘柄が下落。この1年間は総じて「下落」だった。
(2)侵攻開始前(2021年12月30日)の終値比
→ 大きな変動なし。下落して侵攻開始前の水準に戻った。
(3)コロナ・ウクライナなし期間(2016年~19年)の平均値比
→ ほぼ全て「高い」。過去の標準的な時代の約1.4倍高。

図:(1)「侵攻開始日(2022年2月24日)」から足元までの騰落率
図:(1)「侵攻開始日(2022年2月24日)」から足元までの騰落率

出所:QUICK、Investing.comのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。