[Vol.1436] 暴騰より大暴落の方が、収益が大きい場合も

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。77.66ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,815.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年05月限は12,320元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年04月限は566.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで879.1ドル(前日比6.70ドル縮小)、円建てで3,912円(前日比24円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月8日 13時33分頃 6番限)
8,001円/g
白金 4,089円/g
ゴム 223.4円/kg
とうもろこし 43,570円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「暴騰より大暴落の方が、収益が大きい場合も」
前回は、「暴騰vs暴落、『積立』シミュレーション」として、積立シミュレーションで用いる3パターンの価格推移について、述べました。

今回は、「暴騰より大暴落の方が、収益が大きい場合も」として、3つの積立シミュレーションにおける累積資産額について、述べます。

前回述べた3つのシミュレーションの前提の一つに、「50年間継続すること」があります。このため、以下のシミュレーション結果は、価格が上がったから利益を確定させる「ワクワク起因の途中終了」や、価格が下がったからあきらめてやめる「ハラハラ起因の途中終了」、は想定していません。

以下のとおり、50年後(2072年12月)の3パターンの資産の額(利益+投資金)は、いずれも、投資金の合計である600万円を上回りました。大きい方から順に、(3)大暴落パターン(1,100万円超)、(2)暴落パターン(730万円超)、(1)暴騰パターン(728万円超)でした。

(3)大暴落パターンの資産の額は、最も小さい(1)暴騰パターンの1.5倍超となりました(利益だけでみると3.9倍超)。グラフのとおり(3)大暴落パターンの資産の額は、価格反発がはじまった2063年から、急激に増え始めました。

なぜ、(3)の大暴落パターンの資産の額が、2063年から急激に増え始めたのでしょうか。そしてなぜ、大暴落は暴騰に比べて有利になることがあるのでしょうか。答えはシンプルです。「積立」だからです。

図:積立シミュレーション(3パターンの累積資産額) 単位:百万円
図:積立シミュレーション(3パターンの累積資産額)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。