[Vol.1437] 積立の収益は「保有数量」×「最終価格」

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。76.33ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,821.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年05月限は12,190元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年04月限は560.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで879.75ドル(前日比1.75ドル拡大)、円建てで3,879円(前日比3円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月9日 17時48分頃 6番限)
7,957円/g
白金 4,078円/g
ゴム 220.1円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「積立の収益は『保有数量」×「最終価格』」
前回は、「暴騰より大暴落の方が、収益が大きい場合も」として、3つの積立シミュレーションにおける累積資産額について、述べました。

今回は、「積立の収益は『保有数量」×「最終価格』」として、3つの積立シミュレーションにおける累積保有数量について、述べます。

以下は、前々回から述べている3つの積立シミュレーションにおける、保有数量の推移です。最も大きな収益を上げた(3)大暴落パターンは50年間で3,700グラム超(3.7キログラム超)もの金(ゴールド)を積み上げました。一方、最も少なかったのは(1)暴騰パターンの600グラム超(0.6キログラム超)でした。

(1)暴騰パターンの最終的な保有数量は、(3)大暴落パターンの6分の1弱、(2)暴落パターンの半分強にとどまりました。「保有数量の差」が、資産の額の差を拡大させる大きな要因になりました。

「積立」投資の収益は、基本的に「保有数量」×「最終価格」で計算します。これら二つの値を大きくすることが、収益拡大に必要なのです。

大台超えを繰り返しながら、史上最高値を更新し続けた(1)の暴騰パターンの資産の額が、下落後の価格が取引開始時に戻らなかった(2)暴落パターンや、史上最安値水準に沈み、一時的に歴史的な長期低迷を強いられた(3)大暴落パターンの資産の額よりも小さくなったのは、保有数量に圧倒的な差が生じたためです。

「積立」投資は、いかに保有数量を増やすか、そしていかに、増やした数量を効率よく収益に変えるか、という投資です。「価格だけ」に注目してはいけないのです。

「積立」であれば、金(ゴールド)が「高いから買えない」ことはないと筆者は考えています。「今が高い」は、それだけ下落余地が大きく、今後、暴落が起きる可能性がある、つまりそれは、「積立」投資の生命線の一つである「保有数量」を積み上げるチャンスが広がっている、と言い換えることができるでしょう。

図:積立シミュレーション(3パターンの累積保有数量) 単位:グラム
図:積立シミュレーション(3パターンの累積保有数量)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。