エクアドル、なぜ今、OPEC脱退!?②

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。52.63ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,503.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム・上海原油は国慶節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで608.75ドル(前日比6.25ドル縮小)、円建てで2,093円(前日比23円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月3日 16時6分頃 先限)
 5,163円/g 白金 3,070円/g 原油 35,230円/kl
ゴム 155.6円/kg とうもろこし 23,960円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「エクアドル、なぜ今、OPEC脱退!?②」

今回は前回「エクアドル、なぜ今、OPEC脱退!?」の続編です。エクアドルの原油生産量と減産実施時における生産量の上限について書きます。

以下の図のとおり、2019年1月以降、原油生産量の増加が目立っています。(青線)

生産量の上限(赤線)は、今回の協調減産が始まった2017年1月から2018年12月までの2年間、2016年11月のOPEC総会で合意した日量52万2000バレルでしたが、2018年12月のOPEC総会で合意した新しいルールでは、日量50万8000バレルと、1万4000バレル引き下げられました。

上限の引き下げは、減産の負担が重くなることを意味します。

今、エクアドルは中国への債務返済のために原油生産量を増やさなければならない状況にあるとみられます。

このような状況で上限が引き下げられては、国の運営が立ち行かなくなります。

そこでエクアドルは、OPECを脱退する(中国への債務返済を優先して増産をする)道を選んだわけです。

減産免除国になる選択もあったとみられますが、各国同額で求められるOPECへの拠出金が大きな負担だったとみられます。

また、増産意向があったにも関わらず、2018年12月の総会で上限が引き下げられたことは、OPECへの不満を強めたとみられます。

正式に脱退が認められるのはOPEC総会の場となるとみられ、臨時総会が行われなければ、エクアドルは12月5日(木)の次回OPEC総会を経た今年の年末まで脱退できず、あと3カ月間、減産順守を求められる可能性があります。

しかし、すでに脱退の意思を示した、つまり増産の示唆は済んでいるため、エクアドルの原油生産量は今後も増加する可能性があります。

OPECの原油生産量の増加、減産順守率の低下などへの影響が懸念されます。引き続き、エクアドルの原油生産量の動向に注目したいと思います。

図:エクアドルの原油生産量と減産実施時の原油生産量の上限
単位:千バレル/日量


出所:OPEC(石油輸出国機構)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。