[Vol.1451] 西側内で「思想の足並み」が乱れる懸念浮上

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.66ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,986.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年05月限は11,900元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年05月限は523.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで999.45ドル(前日比7.65ドル縮小)、円建てで4,249円(前日比10円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月30日 19時08分頃 6番限)
8,378円/g
白金 4,129円/g
ゴム 208.7円/kg
とうもろこし 42,410円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「EUの方針撤回のカギとなった『合成液体燃料』」
前回は、「方針撤回の真意『産油国への譲歩』!?」として、EUにおける合成液体燃料の利用について、述べました。

今回は、「西側内で『思想の足並み』が乱れる懸念浮上」として、金(ゴールド)市場の七つのテーマ(円建ては八つ)、述べます。

前回述べたとおり、「あの」EUの方針撤回をきっかけに今後、西側諸国の間でESGやSDGsが本当に「正義」なのか? それに反する意味を持つ「化石燃料」は本当に「悪」なのか?といった議論が本格化する可能性があると、筆者は考えています。

そして、ESGやSDGsを巡る議論が深まっていく中で、SDGsが述べる持続可能は「誰にとっての持続可能か?」、ESGやSDGsを「ビジネス利用をしてもよいのか?」という、これまで表沙汰にならなかった議論が、噴出する可能性があると、筆者はみています。

「気候変動を正常な状態に戻す」ための国際的なルール作りを主導したり、電気自動車(EV)の普及を加速させたり、温室効果ガス排出権取引の仕組みを積極的に整備したり、時には、日本が得意としてきた「ハイブリッド車」を否定したり、パリ協定から脱退した国に否定的な姿勢を示したりしてきた、EUの方針転換が持つ意味は、想像以上に重いといえます。

こうした議論は、西側の政治経済を揺るがすきっかけになる可能性があり、注意が必要です。西側の政治経済が不安定化すれば、さまざまなリスクが発生し、金(ゴールド)相場に上昇圧力がかかる可能性があります。

図:金(ゴールド)市場の七つのテーマ(円建ては八つ)
図:金(ゴールド)市場の七つのテーマ(円建ては八つ)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。