[Vol.1457] 「疑う」ことが、もはや常識に

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。80.47ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。2,023.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年09月限は11,625元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年05月限は592.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1006.9ドル(前日比21.30ドル縮小)、円建てで4,323円(前日比5円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月7日 17時36分頃 6番限)
8,515円/g
白金 4,192円/g
ゴム 205.6円/kg
とうもろこし 41,750円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『疑う』ことが、もはや常識に」
前回は、「『分断』はある。きれいな事ばかりではない」として、自由民主主義指数0.2以下および0.8以上の国の数(1947~2022年)について、述べました。

今回は、「『疑う』ことが、もはや常識に」として、生成AIの問題点(現時点)について、筆者の考えを述べます。

足元、生成AIは驚きや称賛を集めていますが、同時に、批判や警戒の対象になっています。以下は、話題の生成AIに「原油相場はなぜ下がらないのですか?」と尋ねたときに生成された回答です。

一見、流暢に答えている生成AIですが、よく見ると「軽薄」感が否めません。具体的な言及が少なく、回答から事象の全体像を把握することができない、一部に誤解を招きかねない「言い過ぎ」が散見される、羅列された回答に「時間軸」「影響度」がない、各事象がこれまでどのように影響を与えてきたのかわからない(今後の展開のイメージが湧きにくい)、などの問題があるためです。

特に、市場分析で重要な「時間軸」への考慮がない点は、重大な欠点であると、筆者は感じています。「代替エネルギー」という長期の時間軸のテーマと、「投資家の期待」という超短期の時間軸になり得るテーマが「並列」に扱われている点は、読み手に大きな(大きな)誤解を与えかねません。

「わかった気になる」「それっぽい」は、人間が持つ特技である「深い思考」を奪います。人間から深い思考を奪ったら何が起きるでしょうか。このようなことは断じてあってはなりません(「深い思考」があるから、夢を描いたり、誰かを想ったり、心に豊かさをはぐくんだりできるのです)。

生成AIが台頭しつつある世の中で、わたしたちがすべきことは、「正しく疑う」ことです。簡単に言えば、うのみにしないことです。こうした思考が、人間の正常な思考を維持するのです。

図:生成AIの問題点(現時点)
図:生成AIの問題点(現時点)

出所:各種情報源より筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。