NY金、テクニカル的な売りは買い場を提供(資源獲得戦争)

著者:菊川 弘之
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 また、南米チリのリチウム産業国有化の動きで、自動車メーカーは電気自動車(EV)用電池の重要原料の調達リスクが一段と高まっている。チリのボリッチ大統領は20日、リチウム産業を管理する新たな国営企業の設立計画を発表。チリはリチウムの埋蔵量が世界最大で、世界の全生産に占める比率は30%に達する。自動車メーカーは、今後数年間は電池製造をリチウムに全面的に依存する見通し。リチウムがなければ電池は製造できず、EVも作れないという構図だ。

 米農務省推計によると、2022~23年(穀物年度、期末)の世界在庫に占める中国の割合はトウモロコシが70%、コメは62%、小麦は52%に達する。重要資源を巡り国家管理を厳しくする流れが世界的に起きており、チリのリチウム産業国有化はその一環。既にメキシコがリチウム産業を国有化し、ジンバブエ、ミャンマー、インドネシアが多様なコモディティーを巡り規制を打ち出している。資源囲い込み・資源戦争が激化の流れだ。

 中国の秦剛外相は4月17日、イスラエルとパレスチナ自治政府の外相と個別に電話で会談した。中国外務省の声明によると、秦氏は双方に、同地域の和平促進で中国が建設的役割を果たす意思があると表明した。米国の仲介によるイスラエルとパレスチナの和平交渉は10年近く停滞しており、再開の兆候は見られない中、サウジ-イランに続き、中国が仲介に動いている。これがまとまるようなら、米国から中国への覇権の流れが一歩、進むと見る向きも出てくるだろう。

 3月に中国がイラン・サウジの和睦を仲介して以来、中東やASEAN、BRICSなどが中国と提携しながら脱ドル現象を加速させていることは、金にとって強い支持要因だ。米金利引き上げ継続を嫌気してテクニカル的な売りで下押しても、押し目は買い直されそうだ。短期売買以外は安値売り込みは避け、買い場探しとしたい。

2022年リチウム鉱山生産高(米国除く)
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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