[Vol.1481] BRICs、NEXT11は過去の言葉

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。71.33ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,013.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年09月限は12,200元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年07月限は505.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで938.85ドル(前日比9.15ドル縮小)、円建てで4,195円(前日比41円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月16日 17時44分頃 6番限)
8,762円/g
白金 4,567円/g
ゴム 210.3円/kg
とうもろこし 39,220円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「BRICs、NEXT11は過去の言葉」
前回は、「G7諸国の強さを確認」として、各国の各種データを確認しました。

今回は、「BRICs、NEXT11は過去の言葉」として、G7、BRICs、NEXT11各国の自由民主主義指数を確認します。

G7に加え、2000年代前半に米国の金融大手が提唱した「BRICs(ブリックス、ブラジル、ロシア、インド、中国)」「NEXT11(ネクストイレブン、国名は以下の図のとおり)」の状況を確認します。

かつて(2000年代前半)、新興国の台頭に、世界が沸きました。株も高い、コモディティ(国際商品)価格も高い。世界は今では考えられないくらい、好景気に沸いていました。「BRICsの次はこの11カ国が台頭する!」という趣旨で、「NEXT11」が提唱されました。

この10数年間、「BRICs」と「NEXT11」は、どのような状況なのでしょうか。これらの国々の、人口、核弾頭の数、自由民主主義指数の変化を確認します。

人口は「BRICs」「NEXT11」、ともに大きく増加しています。提唱当時の前提が保たれていることを示しています。中国、インドの増加が特に目立っています。インドネシア、フィリピン、バングラディシュ、パキスタン、ナイジェリアなどでも大幅な人口増加が見られます。

同時に増加している項目もあります。「核弾頭の数」です。中国、インド、パキスタンで増加しました(ロシアは減少)。この10数年間で核弾頭の数が増加している、ということについては、「G7」をリーダーだと疑わない西側諸国の考えに反します。

また、減少(低下)している項目がありました。「自由民主主義指数」です。特に先ほど述べた人口増加が目立った国で、同指数の低下が目立っています。

以下は、「BRICs」および「NEXT11」各国の、自由民主主義指数の推移です。ロシアはプーチン氏が大統領になってから、インドはリーマンショックが起き、西側の経済システムや思想を否定的に見る動きが強まってから、ブラジルはリオデジャネイロ・オリンピック後の不景気の中、強権的なリーダーが生まれてから、急低下しています。

人口増加と民主化が同時進行することが、経済成長の前提だったはずですが、前提の一つである民主化が進行していない(それどころか、後退している)ことがわかります。こうした国々が、もう一度「今後投資してみたい国」になるためには、同指数が急反発することが必要不可欠でしょう。

図:G7(平均)、BRICs各国、NEXT11(平均)の自由民主主義指数
図:G7(平均)、BRICs各国、NEXT11(平均)の自由民主主義指数

出所:V-Dem研究所(スウェーデン)のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。