サウジの9月の原油生産量を比較①

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。米原油在庫の増加などで。52.55ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,512.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年01月限は11,520元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。19年11月限は449.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで619.1ドル(前日比5.3ドル拡大)、円建てで2,110円(前日比9円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月9日 17時43分頃 先限)
 5,185円/g 白金 3,075円/g 原油 35,860円/kl
ゴム 158.2円/kg とうもろこし 24,240円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「サウジの9月の原油生産量を比較①」

前回は「貿易問題が過熱化する米中欧の石油消費量は世界全体の35%程度」として、米中欧の石油消費量を確認しました。

今回は「サウジの9月の原油生産量を比較①」として、サウジの9月の原油生産量について比較します。

原油生産量のデータは、各種経済指標と異なり、同じ対象物であったとしても公表する組織(専門機関や企業)によって、大差はないものの、異なります。

ドローン事件による被害がどれだけだったのか、注目が集まるサウジの9月の原油生産量について、各組織のデータの公表が始まっていますので、今回以降、その状況を確認します。

以下の資料は、海外通信社A社およびB社、EIA(米エネルギー省)、OPEC(石油輸出国機構)、IEA(国際エネルギー機関)それぞれのデータを比較するものです。

すでに海外通信社AとBは公表済みで、昨日、EIAが月次統計でEIAとしてのデータを公表しました。

現在までで分かっているこれら3つの情報源のデータによれば、サウジの9月の原油生産量は8月比、7.2%から15.0%程度、減少したとされています。(来月以降。8月および9月のデータが修正される可能性はあります)

これらの生産量の減少に伴い、JODI(共同機構データイニシアティブ)が公表しているサウジの原油在庫およそ1億8000万バレル(7月時点 8月分はまだ公表されていない)を基準に推計すると、同国の原油在庫は3075万バレルから5393万バレル(17.1%から30.0%)、減少したと推定されます。

10日(木)にOPECが、11日(金)にIEAが同データを公表します。

OPECのデータは、サウジがリーダー格である組織であるため、自らの意図を反映させたデータ、IEAのデータは、5つの中では比較的中立性が高いデータと考えられます。

5つのデータがそろえば、おおむね、事件の影響の全体像が見えてくると思われます。引き続き注目したいと思います。

図:サウジの原油生産量の比較(2019年8月と9月)
図:サウジの原油生産量の比較(2019年8月と9月)

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。