[Vol.1484] G7で再確認したコモディティ相場の上値余地

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。72.28ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,967.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年09月限は12,215元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年07月限は523.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで903.6ドル(前日比2.00ドル拡大)、円建てで4,118円(前日比9円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月19日 16時49分頃 6番限)
8,716円/g
白金 4,598円/g
ゴム 213.0円/kg
とうもろこし 38,510円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「G7で再確認したコモディティ相場の上値余地」
前回は、「『非西側』主導のコモディティ価格上昇発生」として、主要産油国の収支が均衡する時の原油価格(IMF予測2021・2022年の平均)と自由民主主義指数を確認しました。

今回は、「G7で再確認したコモディティ相場の上値余地」として、リーマンショックを起点に考える非西側の志向性について、筆者の考えを述べます。

ここまでの数回、「G7」というキーワードを起点に、G7のほか、かつて世界経済をけん引すると期待された国々(BRICs、NEXT11)の現状を、さまざまな視点から確認しました。

確認する中で浮かび上がった「非民主化(≒脱西側)」が進んだのは、以下の図のとおり、リーマンショックがきっかけだったと、筆者は考えています。BRICsもNEXT11も、自由民主主義指数が低下し始めた時期が、ちょうどこのころにあたるためです。

10数年という年月をかけて進行してきた「非民主化(≒脱西側)」によって、非西側は西側に対し、強いわだかまりをいだいている可能性があります。それが、「西側」への反発心を生み、西側が嫌がるのをわかりつつ、「出し渋り」をしている一因であると、筆者はみています。

西側のリーダーたち(G7)だけで、こうしたわだかまりを解くことは決してできません。G7で結束を強めれば、かえって非西側の反発心をあおったり、非西側の結束を強めたりしてしまいます。世界が一堂に会した議論がなされるまで、しばらく非西側の出し渋り懸念起因のコモディティ高は続く可能性があります。

図:リーマンショックを起点に考える非西側の志向性
図:リーマンショックを起点に考える非西側の志向性

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。