[Vol.1487] ゼレンスキー氏は物価高を終わらせるカギ

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.79ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。1,976.20ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年09月限は11,955元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年07月限は527.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで920.1ドル(前日比5.05ドル拡大)、円建てで4,187円(前日比92円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月24日 10時28分頃 6番限)
8,767円/g
白金 4,580円/g
ゴム 206.5円/kg
とうもろこし 39,600円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「ゼレンスキー氏は物価高を終わらせるカギ」
前回は、「高止まりが続く原材料価格」として、近年の主要銘柄の価格推移を確認しました。

今回は、「ゼレンスキー氏は物価高を終わらせるカギ」として、原材料の価格動向に関するさまざまな思惑を確認します。

軍事侵攻が勃発した直後の急騰劇は終わったものの、各種原材料がなかなか下がらないのはなぜなのでしょうか。単純ですが、価格が上昇することや、高止まりすることを望む市場参加者がいるためです。

多くの日本人が、物価高が沈静化してほしいと思っている一方で、燃料や食料の価格は高い方がよいと思っている人もいるのです。例えば、原油の生産・販売が国の利益と直結する産油国、食料や金属などの資源を有している国の人々です。

価格が上がってほしい、高止まりしてほしいと考えている節がある産油国や資源を持つ国々のふるまいには、原油の減産や自国の安全保障を銘打った輸出制限などの「出し渋り」や、物価高(インフレ)を誘発することによる「間接的な攻撃」という意図が見え隠れします。西側諸国の優位に立つ狙いがあると、考えられます。

見方を変えれば、原材料価格が下がらないのは、西側の先進国と、西側の先進国と異なる考え方を持つ産油国や資源を持つ国々との間に「分断」が存在するためだと、言えます。原油やさまざまな資源を持つ非西側諸国に「出し渋り」や「間接的な攻撃」をやめてもらうには、何を言ってもウクライナ危機を終わらせる必要があります。

5月21日(日)夕方、ちびまる子ちゃんに代わってテレビに登場したゼレンスキー氏は、ウクライナ危機の陣頭指揮を執る、同国の大統領です。彼は、物価高(インフレ)を終わらせるカギを握っているのです。

図:原材料の価格動向に関する思惑
図:原材料の価格動向に関する思惑

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。