[Vol.1492] 火力発電向けの燃料価格が高止まり

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。68.42ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,975.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年09月限は11,830元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年07月限は503.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで956.1ドル(前日比0.90ドル拡大)、円建てで4,305円(前日比0円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月31日 18時32分頃 6番限)
8,789円/g
白金 4,484円/g
ゴム 208.5円/kg
とうもろこし 39,940円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「火力発電向けの燃料価格が高止まり」
前回は、「値上げの本番は今年の冬か!?」として、経済産業省が示した、標準的な家庭における東京電力管内の電気料金の試算結果について書きました。

今回は、「火力発電向けの燃料価格が高止まり」として、日本の電源構成および発電量ついて書きます。

電気料金を動かす要因は、さまざまな支援策や需要動向だけではありません。これらの要因よりも、時間軸が長くインパクトが大きいのが、発電コストに直接関わる「燃料価格」の動向です。以下は日本における燃料価格の動向が発電コストに関わっていることを示す、電源構成です。

2011年(東日本大震災により原発事故発生)から2014年まで、原子力による発電が減少しましたが、2015年以降は増加しています。同時に、再生可能エネルギーによる発電が増加しています。

これら起因の発電量の増加は、環境問題への対応が進んでいることを示唆しています。また、発電量の総量が長期視点で減少した点は、省エネ(環境問題改善にも寄与)が進んでいることを示していると、考えられます。

長期視点で環境問題への対応が進んでいることがうかがえる日本の電源構成ですが、同時に、まだまだ「火力発電」に頼っていることをも、浮き彫りにしています。2021年の電源構成に占める火力(天然ガス、石炭、石油)の割合は72.9%です。7割以上の電力が、(程度は異なれども)燃焼時に二酸化炭素を排出する燃料によってもたらされているのです。

図:日本の電源構成および発電量 単位:億kWh
図:日本の電源構成および発電量 単位:億kWh

出所:経済産業省の資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。