9月のOPECの生産能力は、16年ぶりに日量3,000万バレル割れ

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の弱含みなどで。52.52ドル/バレル近辺で推移。

金強含み。ドルインデックスの下落などで。1,511.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年01月限は11,620元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。19年11月限は450.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで615.45ドル(前日比0.65ドル縮小)、円建てで2,106円(前日比2円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月10日 19時31分頃 先限)
 5,191円/g 白金 3,085円/g 原油 35,990円/kl
ゴム 160.8円/kg とうもろこし 24,300円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「9月のOPECの生産能力は、16年ぶりに日量3,000万バレル割れ」

前回は「サウジの9月の原油生産量を比較①」として、サウジの9月の原油生産量について比較を試みました。

サウジのドローン事件の影響について、これまで分かっている海外通信社2社とEIAのデータを比較しました。

今回は「9月のOPECの生産能力は、16年ぶりに日量3,000万バレル割れ」として、一昨日EIAが公表した短期見通しに収録されている、OPECの生産能力に注目します。

今回のサウジドローン事件によって、生産障害が発生して一時的に生産できない状態になったため、OPECの9月の生産能力は低下しました。(2次供給を含まず)

以下のグラフのとおり、OPECの生産能力は大きく低下しています。

2019年9月の生産能力は、およそ16年ぶりに日量3000万バレルを下回る、日量2946万バレルとなりました。

減少幅(前月比)は、1997年1月以降の最高となる日量255万バレル減でした。

EIAのデータでは、サウジの8月の原油生産量は日量985万バレルで、9月は日量850万バレルでした。

9月のサウジの生産量は8月比、日量135万バレル減少したわけですが、この減少分がすべて事件によるものだとしても、日量255万バレルの生産能力低下を説明することができません。

サウジ国内で回復しきれていない施設があるのか、あるいはサウジ以外の国で生産能力が低下しているのか、さまざまな原因があると考えられます。

EIAの来月の短期見通しで、OPECの生産能力の値がどのようになっているのかに注目したいと思います。

図:OPECの原油生産能力 単位:百万バレル/日量
図:OPECの原油生産能力

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。