[Vol.1531] 新興国・途上国の穀物需要が二倍に!?

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。79.41ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,972.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年09月限は12,200元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年09月限は602.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで993.95ドル(前日比6.85ドル拡大)、円建てで4,569円(前日比3円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月26日 16時58分時点 6番限)
8,905円/g
白金 4,336円/g
ゴム 200.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足  単位:セント/ブッシェル
シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「新興国・途上国の穀物需要が二倍に!?」
前回は、「新興国・途上国の穀物の爆食は続いている」として、世界三大穀物(トウモロコシ、米、小麦)の消費量について、述べました。

今回は、「新興国・途上国の穀物需要が二倍に!?」として、世界三大穀物(トウモロコシ、米、小麦)の一人あたり消費量について、述べます。

以下は、「人口」を考慮した世界三大穀物の消費量(人口一人あたりの消費量)の推移です。世界三大穀物の消費量(合計)を、先進国の人口(合計)、新興国・途上国の人口(合計)、それぞれで割った値です。

筆者の推計によれば、先進国の一人あたりの消費量(トウモロコシ、米、小麦合計)は、年間およそ579キログラムです(2023年)。肉や乳製品など(家畜のエサとなり)間接的にトウモロコシを消費したり、米や小麦など直接的あるいは直接的に近いかたちで消費したりしたことを想定しています。一日あたりおよそ1.6キログラムです。

このおよそ579キログラムは、新興国・途上国の2倍強です。新興国・途上国の食文化が先進国並みになった場合、新興国・途上国の穀物需要(合計)は2倍強に跳ね上がります。

先述のとおり、人口急増の波が今後60年間は続く可能性があるため、食文化が完全に先進国並みにならなくても、新興国・途上国の穀物需要は増加し、穀物の需給構造をじわじわと引き締め方向に可能性があります。

「おいしいものを食べたい」「食べ続けたい」という、人類の根源的な欲求が絡んでいるため、いったん増加した需要は減少しにくい(需給引き締まりが長期化する可能性がある)と言えそうです。

新興国・途上国が先進国のような食文化を目指さない場合はその限りではありませんが、「おいしい」を追求することは人間の性(さが)であるため、新興国・途上国は先進国の食文化を目指すと考えられます。

図:世界三大穀物(トウモロコシ、米、小麦)の一人あたり消費量 単位:キログラム
図:世界三大穀物(トウモロコシ、米、小麦)の一人あたり消費量

出所:USDA(米農務省)・国連(国際連合)のデータおよびIMF(国際通貨基金)の資料をもとに筆者作成

 

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このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。