[Vol.1539] 足元、材料の頂点は「米国の金融政策」

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。82.31ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,971.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年01月限は12,905元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年09月限は628.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1041.25ドル(前日比6.35ドル縮小)、円建てで4,633円(前日比4円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月7日 17時58分時点 6番限)
8,857円/g
白金 4,224円/g
ゴム 196.7円/kg
とうもろこし 40,100円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「足元、材料の頂点は『米国の金融政策』」
前回は、「インフレ再来ではない、緩やかな上昇継続か」として、主要三銘柄の価格推移について、述べました。

今回は、「足元、材料の頂点は『米国の金融政策』」として、最近の市場の全体像(株・為替・コモディティなど全般)について、述べます。

足元、国内外の金(ゴールド)相場が、歴史的な高値水準で推移しています。NYの金先物は2,000ドル/トロイオンス前後、大阪の金先物は9,000円/グラム前後で推移しています。大阪の金先物は8月1日付の取引時間中、はじめて9,000円の大台を超えました。

直近1カ月間の主要銘柄の騰落を確認すると、株(米国主要株価指数)高、ドル(ドル指数)安、・原油高、そして金(ゴールド)高でした(コモディティ銘柄はともにドル建て)。この騰落状況を、変動要因を加味して絵にすると以下のようになります。

最近の材料の頂点(もっとも川上)は、「米国の金融政策」だと考えられます。利上げの温度感が低下する気配が出始めたことをきっかけに、市場が楽観的な将来像を描く→景気回復期待強まる→株高と原油高という流れが、同時に、ドルの先安観が醸成→ドル安・金(ドル建て)高という流れが生じました。

まだまだ利上げが続く、という見方は残っているものの、主要銘柄の値動きをもとに考えれば、市場全体に楽観的なムードが充満していると言えるでしょう。米国債の格下げという悲観的なニュースが出た直後、乱高下する場面がありましたが、程なくして、株高・ドル安・原油高・金(ゴールド)高が再開しました。

図:最近の市場の全体像(株・為替・コモディティなど全般)
図:最近の市場の全体像(株・為替・コモディティなど全般)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。