[Vol.1549] 再生可能エネルギー先進国としての中国

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。80.12ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,927.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年01月限は13,040元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年10月限は642.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1005.25ドル(前日比2.25ドル縮小)、円建てで4,635円(前日比37円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月22日 大引け時点 6番限)
8,891円/g
白金 4,256円/g
ゴム 200.7円/kg
とうもろこし 39,980円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY銀先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「再生可能エネルギー先進国としての中国」
前回は、「世界の発電事情、石炭依存続く」として、世界の起源別発電量について、書きました。

今回は、「再生可能エネルギー先進国としての中国」として、太陽光による発電量(上位五カ国)について、書きます。

前回、徐々にかつ長期視点で、再生可能エネルギーのシェア上昇が始まっている可能性があると述べました。このシェア上昇の可能性をけん引している国はどこでしょうか。

Energy Intelligence(BPの統計を引きついだ機関)の統計によれば、2022年の風力による発電量の世界一位は中国(世界シェア36%)でした。同二位のドイツの六倍強です。中国が風力発電の分野で圧倒的な存在感を示し始めたのは、2010年ごろからでした(ちょうど、欧州が脱炭素を強化し始めたタイミングと符合)。

中国が再生可能エネルギー由来の発電の分野で圧倒的であるのは、風力だけではありません。「太陽光」においても、圧倒的です。以下は、「太陽光」による発電量(上位五カ国)の推移です。

中国の「太陽光」による発電量は世界一位です(世界シェア32%)。同二位の米国の二倍強です。欧州が脱炭素を提唱し始めた2010年ごろはドイツが先行していましたが、2015年ごろからは中国が急速に同発電量を増やし始めました。

中国における風力や太陽光などの発電量が他国に比べて多いのは、石炭依存度が高くて排出するCO2の量が多いため、それを相殺できる仕組みを強化すること、再生可能エネルギーの分野で他を圧倒して、脱炭素を推進する欧米と対等に渡り歩く影響力を確保すること、ビジネス的な観点から当該分野の先駆者になることを目的としていたこと、広い国土に恵まれ、再生可能エネルギー(特に自然由来)を確保しやすいことなどが、その背景に挙げられると、考えられます。

こうした背景があり、中国は「再生可能エネルギー先進国」としての地位を確立しているように見えます。

図:太陽光による発電量(上位五カ国) 単位:1兆ワット/時


出所:Energy Instituteのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。