[Vol.1556] 1万円という歴史的水準まで上昇

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。81.91ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,971.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年01月限は13,330元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年10月限は643.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで984.95ドル(前日比4.75ドル縮小)、円建てで4,635円(前日比3円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月31日 16時49分時点 6番限)
9,115円/g
白金 4,480円/g
ゴム 214.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「1万円という歴史的水準まで上昇」
前回は、「人口は2100年まで増え続ける見通し」として、BRICS既存5カ国、新加入6カ国、およびG7の人口推移について、書きました。

今回は、「1万円という歴史的水準まで上昇」として、国内金(ゴールド)価格の歴史的水準到達を支えた三つの要因について、書きます。

2023年8月29日午前、国内大手地金商の金(ゴールド)価格が、歴史的な水準に達しました。初めて、1グラムあたり1万円を超えたのです。1万円は2000年前後の水準のおよそ五倍です。

1980年前後に複数の有事が目立った時よりも、2003年以降に米国がテロとの戦いにまい進した時よりも、2008年のリーマンショックが発生した時よりも、2020年の新型コロナがパンデミック化した時よりも、2022年のウクライナ危機が勃発した時よりも、どこよりも高い水準です(史上最高値であるため、当然である)。

前人未到の領域に足を踏み入れた国内大手地金商の金(ゴールド)価格。何が背景となり、このような水準に達したのでしょうか。そして今後、どうなりそうなのでしょうか。

1万円到達は、三つの要因が重なったことで起きたと考えています(一つの要因だけでは到底成し得なかった)。以下が、筆者が考える1万円到達の背景です。

三つの要因とは、ドル建て金(ゴールド)相場が高止まりしていること、円安が加速していること、消費税が上乗せされていること、です。例えば、消費税が含まれていない国内の先物価格は、9,050円近辺です(8月29日時点)。国内大手地金商の金(ゴールド)価格に消費税が含まれている点は、1万円到達の一因だったと言えます。

次回、値動きに関わる、ドル建て金(ゴールド)相場が高止まりしていることと、円安が加速していることについて、具体的な材料を用いて説明します。

図:歴史的水準到達を支えた三つの要因
図:歴史的水準到達を支えた三つの要因

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。