[Vol.1560] ロシア・ウクライナへの依存度を確認

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。86.01ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,949.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年01月限は14,230元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年10月限は686.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1024.4ドル(前日比5.30ドル拡大)、円建てで4,803円(前日比15円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月6日 17時37分時点 6番限)
9,107円/g
白金 4,304円/g
ゴム 235.8円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●シカゴ小麦先物(期近) 日足  単位:ドル/ブッシェル
シカゴ小麦先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「ロシア・ウクライナへの依存度を確認」
前回は、「中長期的には、そろそろ下値が固まるか」として、穀物価格の推移について、書きました。

今回は、「ロシア・ウクライナへの依存度を確認」として、ロシアとウクライナの主要な小麦輸出先について、書きます。

筆者は、ウクライナ危機は長期化すると考えています。危機という混乱を利用して存在感を高める国(危機終息を望まない国)が出てきたり、危機を終わらせるための組織(国連)が機能不全を起こしていたりするためです。勃発から1年半以上が経過し、次第に人々の頭の中から危機の存在が薄れつつあることも、危機を長引かせる大きな要因になり得ます。

このため、ウクライナとロシアの小麦が、危機勃発前と同じように供給される日は当面来ないと考えています。今後、もともとウクライナとロシアが小麦を輸出していた国々では、じわじわと負の影響が出始めると考えられます。以下は、危機勃発直前(2021年)のウクライナとロシアが小麦を輸出していた国々です。

危機を勃発させてウクライナの穀物を事実上掌握したことで、ロシアはもともとウクライナの主要輸出国だった国々にも影響力を行使できるようになりました。

ロシアにとって「資源の武器利用」は常套手段です。「自国(ロシア)の小麦を出さない」に加え、「ウクライナの小麦を出させない」というカードをちらつかせるだけで、依存度が高い国に心理的な圧力をかけることができます。

ロシアとウクライナへの依存度(合計)は、トルコが87.2%、パキスタンが77.5%です。そのほか、先日「BRICSプラス」の一因になることが決まったエジプト(72.7%)、エチオピア(55.7%)、サウジアラビア(43.6%)も、強く依存しています。

こうした依存度が高い国々は、ロシアの「言うことを聞く」ことによって、その見返り(小麦の融通)を享受できるかもしれません。

図:ロシアとウクライナの主要な小麦輸出先(金額ベース 上位10位)(2021年)
図:ロシアとウクライナの主要な小麦輸出先(金額ベース 上位10位)(2021年)

出所:OEC(The Observatory of Economic Complexity)のデータをもとに筆者作成

 

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このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。