NY金、三尊から保合いへ移行

著者:菊川 弘之
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 欧州連合(EU)は17日、首脳会議で、英のEU離脱(ブレグジット)の新しい案を承認。北アイルランド国境問題の解決策を盛り込んだ新離脱案が英国と欧州議会で可決されれば、英国は10月31日にEUを離脱することになる。今後の焦点は、19日の英議会で、離脱案が過半数の賛成をもって、承認されるか否かに移行する。議会承認には北アイルランド民主統一党(DUP)の支持が不可欠と言われていたが、DUPは支持しない意向を示している。まとまらなかった場合、「合意なき離脱」の可能性が意識されてくるだろう。31日の期日を待たず、週明け早々にもパニック的な市場反応を示す恐れもある。

 新しい離脱案はまとまり、月末にEU緊急首脳会議の噂も出ているが、マーケットがリスクオン一辺倒に傾けないのは、英議会での承認の見通しも、その後の展開も不透明で、ハードルは高いためで、金(GOLD)の安値を売り難くしている。

 NY金(12月限)は、ブレグジットや米中貿易協議の行方を見守ろうとの流れが継続しそうだが、テクニカル面からは、50日間安値が1465ドル(10/1安値)まで切り上がっており、リスクオンに繋がるようなヘッドラインで、同水準を割り込んだ場合は、一時的に下げ圧力が高まる可能性。50日間高値は1566.2ドル(9/4高値)と、離れたところに位置しており、テクニカル・内部要因からは、買い玉整理が先行しそうな状況に変化はない。対等数値から変化が起こりやすい日柄は、10月21日、11月7日、11月15日、12月19日。メリマンの重要変化日は、11月22日~24日。12月9日、15日。

 一方、劇的なマーケット環境の好転は期待し難く、6月~7月に保合った1400-1450ドル水準は、強い支持帯となりそうだ。

 世界的な景況悪化の中、日米欧で緩和競争は激しさを増しそうで、ジャブ付き相場期待からの株高などを嫌気して出現した金(GOLD)の安値は、中長期的な買い場を提供することとなりそうだ。チャート上の底打ち確認待ち。
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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