[Vol.1563] 10カ月ぶり、原油価格は高値水準

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。87.30ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,949.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年01月限は14,355元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年10月限は686.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1045.7ドル(前日比2.20ドル縮小)、円建てで4,829円(前日比6円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月11日 16時40分時点 6番限)
9,047円/g
白金 4,218円/g
ゴム (まだ出来ず)
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「10カ月ぶり、原油価格は高値水準」
前回は、「超長期的には均衡点変化の兆しが見えた」として、小麦の生産・消費量、収穫面積(世界全体)について、書きました。

今回は、「10カ月ぶり、原油価格は高値水準」として、WTI原油先物価格の推移について、書きます。

原油相場は足元、およそ10カ月ぶりの高値水準で推移しています。世界の指標であるWTI原油(西テキサス地域産の中質原油)は86ドル近辺、ブレント原油(英国とノルウェー間の北海でとれる原油)は89ドル近辺で推移しています(本稿執筆時点)。以下の図の通り、WTI原油はこのおよそ10カ月間続いたレンジ(74ドルを中心としたプラスマイナス10ドル程度)を上抜けています。

振り返ればこのおよそ10カ月間、主要欧米銀行の連鎖破綻、米国の債務上限問題噴出、米国債の格下げ、OPECプラス(石油輸出国機構と一部の非加盟国)の追加減産開始および延長決定、米国シェール開発の停滞など、さまざまなことが起きました。こうした出来事がもたらした「不安(需要減少を想起)」と「減産(供給減少を想起)」が、レンジ相場を形成してきたと、言えます。

とはいえ、原油相場はレンジを突き破りました。最近の数カ月間(6月以降)、原油相場を取り巻く環境が変化したと考えるのが自然だと、筆者は考えています。

図:WTI原油先物価格(日足 期近 終値) 単位:ドル/バレル
図:WTI原油先物価格(日足 期近 終値) 単位:ドル/バレル

出所:ブルームバーグなどのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。