[Vol.1576] 減産の意味は変わり、さらなる価格高騰も

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。91.86ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,888.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)中秋節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心)中秋節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで963.5ドル(前日比0.00ドル拡大)、円建てで4,617円(前日比14円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月29日 17時26分時点 6番限)
8,969円/g
白金 4,352円/g
ゴム 235.9円/kg
とうもろこし 39,070円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「減産の意味は変わり、さらなる価格高騰も」
前回は、「OPECも不安縮小、生産減少観測浮上に絡む」として、WTI原油先物価格とOPEC月報および会合のトピックについて、述べました。

今回は、「減産の意味は変わり、さらなる価格高騰も」として、最近の西側・非西側の動き(例)について、筆者の考えを述べます。

9月19日に国連総会でゼレンスキー大統領が演説を行った際、空席が目立ったことが報じられました。いくつかの写真で見る限り、少なくない(むしろ多くの)国が欠席しているように見えました。常任理事国(五カ国)で参加した国が米国だけだったなど、団結には程遠く、国連の機能不全が際立ちました。

また、以下の通り、西側と非西側はそれぞれ団結する姿勢を強めていますが、これらの団結は多くの場合、大なり小なり相手を排除する意味を含んでいるため、かえって西側と非西側の対立を激化させてしまっている可能性があります。

今、世界に必要なことは、自分の陣営内での団結ではなく、陣営を超えた歩み寄りだと筆者は考えています。さもなければ団結と団結がさらに分断を深化させかねません。仮にOPECがリーマンショック後に芽生えた対立をきっかけに減産を実施しているのであれば、減産は分断が解消するまで続くでしょう。こうなれば原油100ドルは、通過点になってしまうかもしれません。

減産が西側と非西側の分断の中で、新しい意味を伴って行われている可能性があることを、絶えず感じていかなければならないと、筆者は考えています。

図:最近の西側・非西側の動き(例)
図:最近の西側・非西側の動き(例)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。