[Vol.1578] 「新しい石油」という考え方

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。88.96ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,841.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)国慶節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心)国慶節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで954.25ドル(前日比6.15ドル縮小)、円建てで4,570円(前日比30円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月3日 17時53分時点 6番限)
8,802円/g
白金 4,232円/g
ゴム 233.7円/kg
とうもろこし 38,940円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『新しい石油』という考え方」
前回は、「2050年、原油相場は大暴落して25ドルに!?」として、IEAのネットゼロ・シナリオ(2023年)における主要な数字について、述べました。

今回は、「『新しい石油』という考え方」として、IEAが示したネット(正味)ゼロ シナリオ(2023年更新版)の概要について、述べます。

この報告書に「新しい石油」という言葉が出てきます。では、電力が世界の新しいエネルギーシステムになる、という考え方です(As electricity becomes the 「new oil」 of the global energy system in the NZE Scenario.)。

NZEシナリオでは、これまで化石燃料をメインとしていた自動車などの運送の分野で電化が飛躍的に進む(電気自動車が急速に普及する)ことや、発電の分野で再生可能エネルギーである太陽光や風力などの利用が急増することが想定されています。

これにより、パリ協定(2015年)で定められた+1.5 ℃(産業革命前比) の制限を限定的に上回ることはあるものの、2050 年までにエネルギー部門からの二酸化炭素排出のネット(正味)ゼロを達成し、世界の平均気温の上昇は 2100 年までに 1.5 ℃ を下回る(パリ協定の目標達成)とされています。

図:ネット(正味)ゼロ シナリオ(2023年更新版)の概要


出所:IEA(国際エネルギー機関)の資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。