[Vol.1610] 原油相場、株高でもドル安でも大暴落

著者:吉田 哲
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原油反発。OPECプラスの追加減産観測などで。76.75ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,983.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年01月限は14,365元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年01月限は585.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1074.45ドル(前日比5.55ドル縮小)、円建てで5,187円(前日比131円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月20日 大引け時点 6番限)
9,485円/g
白金 4,298円/g
ゴム 268.6円/kg
とうもろこし 39,380円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油相場、株高でもドル安でも大暴落」
前回は、「有事ムードは見えないリスクに昇華」として、世界(西側・非西側)の分断深化が与える金(ゴールド)相場への影響を確認しました。

今回は、「原油相場、株高でもドル安でも大暴落」として、主要銘柄の騰落率(2023年10月6日と11月17日を比較)を確認します。

足元、原油相場が大幅下落に見舞われています。イスラエル・ハマス間の戦争が勃発して一時的に急騰したものの、10月下旬より下落が目立ち始め、以下のとおり、同戦争勃発直前に比べて8%強、安くなっています(先週末時点)。

原油大幅安と同時進行したのが、株高とドル安です。株高は景気好転・需要拡大観測を生み、原油相場の上昇要因になり得ます。ドル安も、他の通貨建ての原油に比べて割安感が生じることなどから、原油相場の上昇要因になり得ます。

二つの大きな上昇要因があったにも関わらず原油相場は下落しました。その一因に、米国の原油在庫が増加したことや(週次ベースの複数の統計より)、中国の経済指標の一部(10月の製造業及びサービス部門PMI、貿易収支など)が予想よりも弱い内容だったことで、世界二大原油消費国における需要が鈍化する観測が生じたことが挙げられます。

図:主要銘柄の騰落率(2023年10月6日と11月17日を比較)
図:主要銘柄の騰落率(2023年10月6日と11月17日を比較)

出所:Investing.comのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。