[Vol.1623] 分断と緩和がさらなる高値を実現し得る

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。70.91ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,043.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年05月限は13,615元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年01月限は548.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1120.7ドル(前日比13.70ドル縮小)、円建てで5,160円(前日比17円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月8日 18時26分時点 6番限)
9,410円/g
白金 4,250円/g
ゴム 242.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「分断と緩和がさらなる高値を実現し得る」
前回は、「すでに『モノ』のインフレは沈静化」として、米PCE物価指数におけるモノとサービスの推移(前年同月比)を確認しました。

今回は、「分断と緩和がさらなる高値を実現し得る」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマを確認します。

米PCEの「サービス」が、「モノ」にならって低下した場合、FRBは利上げをやめることを宣言する可能性があります。

それは「始まりの始まり」が終わり、本格的な「始まり」が到来したことを意味します。それ以降、利上げの温度感は本格的に低下し、それに伴い、本格的に金(ゴールド)相場に代替通貨起因の上昇圧力がかかり始める可能性があります。

米国の金融政策に関りが深い「代替通貨」は短中期のテーマに置いていますが、先述の2008年から2013年ごろや、2019年から2020年半ばまでのような息の長い利下げ・低金利が起きた場合は、同テーマ起因の金(ゴールド)相場への上昇圧力が長期化する可能性があります。

また、中長期のテーマでは「中央銀行」、超長期では「見えないリスク」という長い時間軸のテーマでも金(ゴールド)相場を支え得る複数の材料があることもあり、今後も金(ゴールド)相場は上昇する可能性があると筆者は見ています。(短中期的な上下は起きるものの、長期視点では上昇傾向が続くと考える)

例えば、米国の大規模な金融緩和が続いていた2009年半ばに、強い代替通貨起因の上昇圧力を受けて、(株高の中で)金(ゴールド)相場は初めて1,000ドルの大台を突破しました。

あの時、とある市場関係者は「もう高いから上がらない」と話をしていましたが、足元の水準はあの時の2倍以上です。材料があれば上がるのです。以下の図のとおり、金(ゴールド)相場は絶えず、七つのテーマのからの影響を受けています。

「中央銀行」「見えないリスク」という長期視点の上昇圧力に加え、利上げ温度感低下の「始まりの始まり」によって強まってきている「代替通貨」起因の上昇圧力が、利上げ温度感低下が本格的に「始まって」さらに大きくなった場合、金(ゴールド)相場はさらに目立った上昇を演じる可能性があります。

金(ゴールド)相場に七つのテーマがあるという考えを用いることで、冷静な分析が可能になります。たった七つ。短中期的にはそれよりも少ない三つです。

国内外の金(ゴールド)相場が史上最高値を更新したタイミングだからこそ、これまでにも増して習得する意味がある考え方であると考えます。

図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2)
図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。