[Vol.1622] すでに「モノ」のインフレは沈静化

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。70.07ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,049.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年05月限は13,355元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年01月限は535.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1151.95ドル(前日比2.25ドル縮小)、円建てで5,339円(前日比53円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月7日 17時50分時点 6番限)
9,492円/g
白金 4,153円/g
ゴム 239.3円/kg
とうもろこし 39,190円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「すでに『モノ』のインフレは沈静化」
前回は、「緩和ムードは『始まりの始まり』の段階」として、米コアCPIとコアPCEの推移(前年同月比)を確認しました。

今回は、「すでに『モノ』のインフレは沈静化」として、米PCE物価指数におけるモノとサービスの推移(前年同月比)を確認します。

[Vol.1620] 短中期の三要素のうち二つが上昇を支持で示した図「金(ゴールド)に関わる短中期の三つのテーマの動向」の「これまで」が、米国で急激に物価が上昇してインフレ退治(利上げ)が急務だった時で、「目立ちつつある状況」が、物価指数が低下してインフレ退治(利上げ)の動機が低下しつつあるこの数カ月の状況です。

PCEを「モノ」と「サービス」に分けたのが以下です。すでに「モノ」のインフレは沈静化したと言えるでしょう。「サービス」についても低下しつつあり、あと2%程度低下すれば「サービス」のインフレも沈静化したと言えるでしょう。

PCEの一部がインフレ沈静化したことを示し、残りが沈静化に向かい始めていることは、インフレ退治のために行われてきた利上げの温度感低下の「始まりが始まっている」ことを、より詳しく示していると言えます。

利上げの温度感低下の「始まりの始まり」は、金(ゴールド)相場に強い上昇圧力がかかる「始まりの始まり」でもあります。

利上げの温度感低下→利上げ打ち止め→利下げ、という図式を見いだしやすくなり、利下げとほぼゼロ金利という強い緩和策が講じられて、代替通貨起因の強い上昇圧力がもたらされた2008年から2013年ごろや、2019年から2020年半ばまでの「ドル安・金(ゴールド)高」が目立った時期を連想しやすくなるためです。(これらの時期は株高・金高だった)

図:米PCE物価指数におけるモノとサービスの推移(前年同月比)
図:米PCE物価指数におけるモノとサービスの推移(前年同月比)

出所:Bureau of Economic Analysisのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。