[Vol.1644] 投資思考のイノベーションで「花の山」へ

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.49ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,044.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年05月限は13,770元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年02月限は570.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1115.15ドル(前日比15.55ドル拡大)、円建てで5,231円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月12日 17時58分時点 6番限)
9,507円/g
白金 4,276円/g
ゴム 261.6円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「投資思考のイノベーションで『花の山』へ」
前回は、「多彩な状況になった金(ゴールド)相場」として、ウクライナ危機が発生した2022年の各種銘柄の騰落率などについて述べました。

今回は、「投資思考のイノベーションで『花の山』へ」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年、筆者イメージ)について述べます。

1970年代後半の有事の同時発生時、金(ゴールド)相場は長期視点の価格上昇を演じませんでした。このことは、有事ムードをきっかけとした上昇圧力が数十年におよんで継続する可能性が低いことを示唆しています。

今、金(ゴールド)相場は数十年単位の高騰劇のさなかにあるのは、有事ムードをはじめとした複数のテーマ起因の上昇圧力に支えられているためです。有事ムードは今も昔も、金(ゴールド)相場の動向を左右する重要なテーマであることは変わりませんが、市場環境が多彩になった今、有事ムード以外のテーマにも、同時に目を向けなければならなくなっています。シンプルだけでは追いつかないのです。

以下のとおり、金(ゴールド)に関わるテーマは七つあると筆者は考えています。数えられないくらいテーマがあるのではなく、短中期であれば三つ、中長期であれば三つ、超長期であれば一つ、合計七つです、これらをカバーしていれば、現在の金(ゴールド)相場の分析は可能であると考えます。円建て金(ゴールド)は「ドル/円の変動」を追加します。

投資スタイルが異なれば、注目するテーマが異なります。四半期に一度程度のタイミングで公表される中央銀行の動向をもとに、短期売買することは考えにくいでしょう。短期売買であれば(1)から(3)、長期投資であれば(4)から(7)のテーマに注目するとよいと思います。

「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言があります。多くの人が通る道を避けて、裏の道を進むことで、花の山に行き着くことができる、つまり、群集心理に惑わされず、人とは違う方法を選択することが、利益を上げるために重要だということを説いた格言です。

実は「脱昭和」は「人の行く裏に道あり花の山」を体現するために有効であると、筆者は考えています。多くの個人投資家はまだ「昭和」の状態で取引をしている可能性があるためです。

「シンプル」「受け身」「楽観」という昭和の特徴を多彩、能動、批判的に置き換えることで、裏の道を進むきっかけが見つかります。こうしたことができれば、心理的に他の個人投資家より優位に立てるでしょう。「昭和」の投資家よりも一歩先に買い、一歩先に売ることができれば、花の山に行きつく(投資のパフォーマンスを向上させる)ことができるのではないでしょうか。

金(ゴールド)をはじめとした多くの市場には、「シンプル」「受け身」「楽観」を重視する昭和の投資家が多いと感じます。だからこそ、他の個人投資家より優位に立つチャンスがあると思います。そのための具体的なアクションが「脱昭和」なのだと思います。

図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年 筆者イメージ)
図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年 筆者イメージ)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。