なぜ2017年12月にシェール主要地区の組み換えが行われたのか?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。55.38ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,496.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,790元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。19年12月限は454.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで574.15ドル(前日比2.65ドル縮小)、円建てで1,997円(前日比7円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月29日 16時58分頃 先限)
 5,217円/g 白金 3,220円/g 原油 38,340円/kl
ゴム 170.3円/kg とうもろこし 24,140円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「なぜ2017年12月にシェール主要地区の組み換えが行われたのか?」

前回は「米国のOPEC依存度、統計史上最低の14.9%」として、米国の相手国別原油輸入量について書きました。

今回は「なぜ2017年12月にシェール主要地区の組み換えが行われたのか?」として、米国内の複数のシェール主要地区の変遷について書きます。

米エネルギー省(以下 EIA)は、2019年10月時点で、全米に7つ、シェール主要地区があるとしています。

実は、2017年11月まで、シェール主要地区は数は同じ7つでしたが、アナダルコ地区はありませんでした。

技術革新が進み、シェールの生産量が増加したことによって、アナダルコ地区が新たにシェール主要地区としてみなされるようになった、というのが同地区がシェール主要地区になった背景の一つだと考えられます。

2017年12月の主要地区の組み換えでは、アナダルコ地区の追加の他、ウティカ地区とマルセラス地区が一つになり、アパラチア地区が誕生しました。

シェール主要地区の原油生産量としては、(主要地区の数が変わらずに)アナダルコ地区分が増えたわけです。

同地区の生産量は自体はナイオブララ地区と同じくらいです。(2019年9月時点で日量およそ55万バレルで、シェール全体のおよそ6%)

アナダルコ地区が追加された時期である2017年12月は、逆オイルショック後、打撃を受けたシェールの生産がまだ本格的に回復したとは言えない状態でした。

OPECプラスの協調減産が始まって1年が経とうとする中、原油価格が2年半ぶりに60ドルを超えたタイミングでもあります。

シェールの復活がままならない中、当選翌年のトランプ大統領がけん制した原油価格の上昇とOPECの復権が同時に起きていたタイミングでもあります。

シェール復活を演出するために、生産量のかさ増しという主要地区の組み換えが行われたのではないか?と筆者は考えています。

図:7つの米シェール主要地区の概略図 (2019年10月)


出所:EIAの資料をもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。