[Vol.1659] 分断起因の減産が原油相場を支える

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。74.15ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,071.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年05月限は13,290元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年03月限は562.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1145.3ドル(前日比3.50ドル縮小)、円建てで5,361円(前日比15円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月2日 18時05分時点 6番限)
9,682円/g
白金 4,321円/g
ゴム 284.8円/kg
とうもろこし 37,630円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「分断起因の減産が原油相場を支える」
前回は、「非民主国家が脱炭素を支える矛盾」として、西側先進国とEVバッテリー資源国の自由民主主義指数について述べました。

今回は、「分断起因の減産が原油相場を支える」として、リーマンショックを起点とした西側・非西側間の分断とコモディティ相場への影響について述べます。

前回述べた民主主義の行き詰まり傾向を説明するために、2008年リーマンショックまでさかのぼります。同ショックにより、堅牢といわれた西側の金融神話が崩壊しました。

また、同ショック後の経済回復のため、西側諸国は「環境問題」や「人権問題」を解決することを目指し始めました。西側の金融神話崩壊や、西側主体の問題提起・解決策実施は非西側の反発を買い、非西側の「脱西側」の動きを加速させました。

2010年ごろから西側と非西側の分断が深まり始まったことは、前回述べた南半球のバッテリー資源国の自由民主主義指数が頭打ちになり、下落に転じたことと合致します。また、西側と非西側の足並みが乱れたことは西側の同指数を頭打ち・下落に転じさせる一因となり、これらが同時進行したことにより、世界全体の民主主義が行き詰まり始めたと考えられます。

民主主義の行き詰まりによって、西側・非西側の分断はさらに深まり、その延長線上でウクライナ戦争やイスラエル・ハマスの戦争が勃発したと、筆者は見ています。イスラム武装組織の活動活発化や、EVバッテリー資源国の出し渋りのリスク増大に、民主主義の行き詰まりや分断が関わっていると考えられます。

さらに言えば、OPEC(石油輸出国機構)プラスの原油の減産継続もまた、民主主義の行き詰まりに端を発した、西側・非西側の分断深化が一因であると、考えられます。

OPECプラスの減産は、単に原油価格を高止まりさせるために行われているのではないと考えられます。リーマンショック後から続く「分断」、環境問題と称して石油を否定する西側への反発という心情的な動機も含まれていると考えるべきであると、筆者は見ています。減産は非常に強い動機に支持されて行われている。こう考えると、原油価格が下がらない理由が見えてきます。

図:リーマンショックを起点とした西側・非西側間の分断とコモディティ相場への影響
図:リーマンショックを起点とした西側・非西側間の分断とコモディティ相場への影響

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。